元小結の時天空が「悪性リンパ腫」で急逝!高倉健さんや松来未祐さんの命を奪った難病

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白血球のリンパ球が「がん化」して増殖・発症

 時天空が闘病した悪性リンパ腫(ML: Malignant Lymphoma)は、リンパ系組織から発生する悪性の血液がんだ。悪性リンパ腫の原因、症状、治療法を詳しく見てみよう。

 ヒトの血液量は、体重のおよそ 1/13(男性約8%、女性約7%)、体重 70 kgなら血液の重さは約5kg になる。血液は、血球成分(血液細胞)と血小板、血漿成分(液性成分)からなる。その重量比は、血球成分(血液細胞)と血小板約40〜45%、血漿成分60〜55%。

 血球成分(血液細胞)の重量比は、赤血球96%、白血球3%、血小板1%。血漿成分の重量比は、水分90%、血漿蛋白質7%、微量の脂肪、糖、無機塩類3%だ。

 血球成分(血液細胞)は、骨の内部にある骨髄の造血幹細胞から増殖・分化して生成される。造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれ、骨髄系幹細胞からは、赤血球、血小板、白血球の成分のうち、顆粒球や単球が産生され、リンパ系幹細胞からは、白血球の中のB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球が産生される。

 悪性リンパ腫は、白血球の中のリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞など)ががん化し、無制限に増殖して発症する。ホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に大別される。

 病理検査でリード・シュテルンベルグ細胞やホジキン細胞などが見られるホジキンリンパ腫は、欧米人に多い。一方、日本人のホジキンリンパ腫は約5~10%と少なく、非ホジキンリンパ腫(B細胞性)が70~80%を占める。

 非ホジキンリンパ腫は、がん細胞の特徴(B細胞性・T細胞性・NK細胞性の成熟度)、染色体検査、遺伝子検査などの結果に基づく病状の進行速度によって、低悪性度(年単位で進行)のインドレントリンパ腫、中悪性度(月単位で進行)のアグレッシブリンパ腫、高悪性度(週単位で進行)の高度アグレッシブリンパ腫に分類される。

 悪性リンパ腫は、リンパ系組織とリンパ外臓器(節外臓器)に発生する。リンパ系組織は、リンパ節をつなぐリンパ管や、リンパ管の中を流れるリンパ液、胸腺、脾臓 、扁桃などの組織や臓器で、細菌やウイルスなどの病原体を排除する免疫システムの働きがある。

 一方、リンパ外臓器(節外臓器)は、胃、腸管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚などだ。リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、悪性リンパ腫は、全身の部位に発生する可能性が高い。

 発症の主原因は、細胞内の染色体の異常によって染色体の中のがん遺伝子が活性化し、その結果、リンパ系細胞ががん化して発症する。また、ヒトヘルペスウイルス6型や8型、C型肝炎ウイルス、EBウイルス、ヘリコバクター・ピロリ菌などのウイルス感染症や免疫不全が関連して発症する場合もある。

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