白人至上、女性蔑視、反イスラム、反中を標榜するトランプ一族も面妖なるペルソナか?
政権運営の偏向といえば、トランプ一族の影響力も無視できない。
とくに目立つのが、長女イバンカ氏(35)。昨年7月の共和党大会では、父親を支援する演説会に駆けつけ、副大統領候補の人選や陣営の意思決定にも深く関わった。ただ、
閣僚には加わらないが、トランプ大統領の妻メラニア氏はニューヨークにとどまることから、イバンカ氏が事実上のファーストレディーになる可能性がある。
イバンカ氏の夫ジャレッド・クシュナー氏(35)は、シリコンバレーの人脈によって支持者を結集させ、トランプ当選の立役者となった。敬虔なユダヤ教徒の立ち位置を活かして、中東和平の交渉役を請負うかもしれない。
異端のペルソナは、まだいる――。大統領上級顧問兼首席戦略官のスティーブン・バノン氏は、白人至上主義者で、「避妊は女性を醜くし、狂わせる」と女性蔑視の偏見が濃厚な人物だ。
さらに、カリフォルニア大アーバイン校教授で、国家通商会議議長のピーター・ナバロ氏は、「中国が雇用を奪っている。為替操作や不公正な貿易を止めなければ、高関税をかける」と中国への敵対心を剥き出しにしている強硬派だ。台頭すると、対中政策にヒビが入る恐れもある。
トランプ政権は「100日天下」?
さて、トランポノミクスの「行動心理」と「ペルソナ」の実体を長々と分析して来た。世界が注視するトランプ政権は「100日天下」と揶揄する論調もある。
もしも100日がマイルストーン(試金石)なら、トランプ大統領は、ロシアンルーレットの誘いに唯々諾々と乗ってはいけないし、中国の地雷原に勇んで踏み込んでもいけない。
トランポノミクスを陰で糸を操るのか、その正体は庸(よう)として知れない。だが、それが、ロックフェラー・コネクションでも、国際石油資本でも、産軍官コンプレックスでも、トランポノミクスは、世界の多極化をますます加速させ、平和の脆弱性を強める事実は決して変わらない。
トランプ大統領は、あえて危険なギャンブルに手を染めず、平和外交第一主義に徹してほしい。
(文=編集部)