ゴルファー片山晋呉さんの復活の陰に「再生医療」〜幹細胞治療で五十肩の痛みを改善

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背中の筋肉が柔らかくなってきた

 片山プロが人づてに情報収集して、ようやく現在治療中の同院を訪ねたのが、リオ五輪から帰国後の8月末のこと。実際の幹細胞治療は9月17日から行なわれ、その効果のほどは翌月の通算30勝という快挙で示唆された。

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岩本拓院長(スタークリニック東京・ベイ)の治療を受ける片山プロ

 「幹細胞の局所注射では施術後に多少痛みが発生します。プロゴルファーの場合、シーズン中であれば木金土・木金土と試合が続くわけですから、その打たれた痛みと試合の日程が重ならないように調整しました。ただ、トップアスリートである片山さんの場合は毎週の治療を行っていますが、一般人の場合はそこまでやる必要はないですよね」(前出・岩本医師)

 片山プロの体調管理に携わるアスレティックトレーナーの伊澤祐一氏はこう語る。

 「(背中の)筋肉が柔らかくなってきてますね。例年シーズン終盤になるとどうしても固くなってはくるものなんですが、解しても解しても治らないことが多かった。それが最近は試合後もそんなに張らないんで、マッサージ治療自体の時間をかけなくてもいいという感じですね。つまり、理想的なかたちに導かれていると思います」

 スイングで使う筋肉の運動量自体が減っているわけではないぶん、「明らかにカラダの中で何かが起きているに違いない」と伊澤トレーナーは効果を読んでいる。その横で、片山プロ自らが治療開始後の変化を口にした。

 「とにかく快適ですよね、痛くないんで。いつも毎日、不愉快だったんですが、最近は『痛ッ!』というコトバを言わなくなったしね、不愉快でないのが一番ですよ。何よりも練習にも行くようになったし。シーズンも終わって休みに入ったから、あとは来年に向けて完全なカラダをどうするかという事に集中できるんでね、愉しみです」

 五輪出場に次ぐ30勝目の偉業達成と耳目を集めた片山晋呉の2016年。だが本人は「トータルなデータ上も最近で一番悪い年だった」と厳しく自己評価している。そんな状況下で開始された幹細胞治療は「50歳で世界一」の目標を近づけたという。

 「可能性? それはもう相当広がったでしょうね。僕の中でもあまりに良くない1年が改善されて、来年の11月末頃には『今週、賞金王はどうかなぁ?』というところに自分がいたいなと思いますね。技術と経験だけは誰よりもより以上に持っているし、正直、体調さえよければ若い選手に負ける気がしないし。もう一度、一番になっておきたい気持ちがあるから、この治療が大きなプラスに働くと思っていますよ。できれば、プロゴルファーのライバルには教えたくないですね(笑)。」
(取材・文=編集部)

岩本拓(いわもと・たく)

スタークリニック院長

筑波大学医学専門学群卒業、東京大学大学院医学研究科入学
同修了。国立国際医療センター形成外科厚生技官、東京都立墨東病院形成外科医員、帝京大学形成外科助手、山梨大学皮膚科形成外科診療班学部講師、東名厚木病院形成外科部長などを歴任。最先端の再生医療・幹細胞治療を中心とした予防治療、美容治療、関節・筋肉の障害など分野に積極的に取り組んでいる。

【専門分野】再生医療、幹細胞治療
医学博士、日本医師会認定産業医、日本形成外科学会形成外科認定医、日本創傷外科学会創傷治療専門医

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