欧米で模倣犯続出の<殺人ピエロ>、渋谷・ハロウィン騒動はSNSで拡散された集団ヒステリー

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騒動はSNSで拡大された集団ヒステリー?

 

 本来は子どもを楽しませる、愛らしいキャラクターだったはずのピエロ。それが恐怖のシンボルとなった転機は、1991年に日本語訳が刊行された、ホラー小説家、スティーヴン・キングの『IT』からのようだ。

 <ピエロの顔は真っ白で、禿げ頭の両側に赤い毛がへんてこな房みたいにくっついていて、唇のまわりに、大きく口をあけて笑っているピエロの唇が描いてある。(中略)『この舟がほしいかい、ジョージィ?』ピエロはにっこり笑った>

 <ジョージは手をのばした。ピエロはその腕をつかんだ。ピエロの顔が変わるのをジョージは見た。そのとき彼が見たものは、地下室で想像するいちばん怖いものだって、たのしい夢に思えるくらい、それは恐ろしいものだった。彼が見た相手は、かぎ爪でひとかきするぐらいのあいだに彼の正気を破壊してしまった>

 大量発生するピエロを社会現象として捉えれば、幕末の「ええじゃないか」や、1979年に日本中で爆発的に広まった都市伝説の「口裂け女」など、集団ヒステリーの系譜に連ねることもできそうだ。

 閉塞感の強まる時代状況に対する、フラストレーションが爆発した結果だとも考えられる。

 今回の<殺人ピエロ>が新しいのは、最初からSNSで拡散されることを期待している点だろう。ネット上で「騒がれたい」という心理が、意図的に騒動を作り出す行為へとつながり、エスカレートする現象をそこからは伺うことができる。

 渋谷スクランブル交差点のハロウィンの大騒動でも、仮装した見知らぬ者同士が一緒に写真を撮り、SNSで広めることでさらなるカオスの様相を呈している。

 古くから存在する集団ヒステリー現象と、スマホやSNSという最新ツールが出会うことで、殺人ピエロやハロウィンといった仮装文化は、これからもさまざまな騒動を巻き起こしそうだ。
(文=編集部)

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