食後に血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」で突然死も! その予防法は?

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食べる順番「野菜→肉・魚→ご飯・パン」を守る!

 第1は、食べる順番「野菜→肉・魚→ご飯・パン」を守る。特に食物繊維を先に多くゆっくり食べる。食物繊維を多く含む野菜を最初に食べると、食物繊維が腸壁をコーティングするので、糖質の吸収が遅れるからだ。

 次にタンパク質や脂質を含む肉や魚を食べると、血糖値を抑える消化器ホルモンのインクレチンが分泌され、胃腸の動きが弱まるため、糖質の吸収が遅れる。最後に糖質を多く含むご飯・パンを食べると、血糖値の急上昇が抑えられる。

 また、最新の臨床研究によると、腸内細菌バクテロイデス類は、血糖値を下げ、血糖を分解するインスリンを出すホルモンのインクレチンを増やすことから、さらにインスリンも増えて、血糖が分解しやすくなる事実が分かっている。

 バクテロイデス類は、ゴボウ、タマネギ、ニンジン、ニンニクなどの根菜類、キノコ、ひじきなどの海藻類、オクラなどのネバネバする食品の水溶性食物繊維にたっぷり含まれている。ご飯は、玄米、大麦、五穀米なども効果がある。

糖分を避ける=GI値(グリセミック指数)の低い食品を摂る

 第2は「糖分を避ける」こと。GI値(グリセミック指数)の低い食品を摂る。GI値は血糖値の上昇スピードを表す指標。たとえば、白米は88、玄米は55だ。

 白米のようなGI値の高い食品を食べると、血糖値は急上昇し、血糖値を下げるためにインシュリンが多く分泌されるので、血糖値は下がる。ところが、インシュリンは脂肪を作り、脂肪の分解を抑制するため、肥満の原因になる。

 一方、玄米のようなGI値の低い食品を食べると、血糖値は緩やかに上昇し、インシュリンの分泌が抑えられるので、肥満が防げる。つまり、GI値の低い食品は、高血糖を改善する効果があることから、ダイエット効果を期待でき、糖尿病、がんなどの発症リスクを抑制するのだ。

 GI値の低い食品を挙げよう――。

 たとえば、穀類(GI値50以下)なら、春雨、おかゆ(玄米)、パスタ(全粒粉)、全粒粉パン、麦、中華麺。野菜(GI値22以下)なら、サラダ菜、小松菜、チンゲンサイ、キュウリ、しらたき、レタス、みょうが、もやし、ほうれん草。果物(GI値34以下)なら、アボカド、イチゴ、あんず、パパイヤ、グレープフルーツ、オレンジ、梨、レモン。魚類(GI値40)なら、まぐろ、アジ、穴子、えび、イカ、たらこ、ししゃも、しらす、イクラ、アサリ。乳製品(GI値30以下)なら、プレーンヨーグルト、牛乳、低脂肪乳、卵、バター。海草類(GI値19以下)なら、ところてん、もずく、寒天、青海苔、昆布、ひじき。

 GI値は、法定速度(GI値60)のようなものだ。法定速度(GI値60)を超えると、肥満、糖尿病、がんなどに罹りやすくなる。食生活を見直し、GI値の低い食品(60以下)を摂るように心がけよう。

きちんと3食!食後は運動!

 第3は「朝食を絶対に抜かない」こと。ある実験では、1日3食を規則正しく食べている時は、血糖値スパイクが生じなかったが、朝ごはんを抜くと、昼食後に血糖値スパイクが発生。朝食も昼食も抜くと、夕食後にさらに大きな血糖値スパイクが生じることが分かった。きちんと3食食べることが大切だ。

 第4は「食後1時間程度、ちょこちょこ体を動かす」こと。食後15分間は、食べ物の消化吸収が促されるため、血液が胃や腸に集まる。体を動かせば、血液が手足の筋肉に使われ、胃や腸の働きが弱まる。その結果、糖の吸収が遅れ、血糖値が抑えられる。ただ、激しい運動は消化に悪く、逆効果。掃除機をかける、床を拭く、風呂やトイレの掃除をする、買い物に出るなどの軽い運動でも効果がある。

あなたの血糖値スパイク危険度をチェック!

 さて、ここで血糖値スパイクの危険度をチェックしてみよう。以下の8つの質問に答えるだけで、血糖値スパイクの危険度が 判定できる。

□あなたの性別は?
□あなたの年齢は?
□あなたのBMIは? (あなたの身長、体重は?)
□家族(兄弟姉妹・父母・祖父母など)に糖尿病になった人がいますか?
□お腹が出ている体型ですか? (腹囲が 男性90cm以上、女性80cm以上)
□あなたは高血圧ですか? (140/90mmHg以上、もしくは血圧の薬を服用中)
□1日に何本タバコを吸いますか?
□週3日以上なにか運動をしていますか?
■出典:血糖値スパイクの危険度チェック(作成協力:九州大学・二宮利治教授)

 糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、突然死、がん、認知症を招く、恐ろしい血糖値スパイク。しかし、血糖値のメカニズムを知り、血糖値をコントロールする生活習慣を心がければ、解消できる。健康診断の正常値だけに安心ぜず、日頃から血糖値の変化に関心を持ってほしい。
(文=編集部)

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