溜めて出すのが「快感オシッコ」
このような排尿をめぐるトラブルの数々やその対処法について分かりやすく解説した本が、旭川市で神楽岡泌尿器科院長を務める渋谷秋彦医師が書いた『気持ちいいオシッコのすすめ』(現代書林)である。
本書で渋谷氏が解くのは、オシッコには気持ちよく自然にできる「快感オシッコ」と、息(いき)んで無理に出す「不快オシッコ」の2種類があるということ。
もちろん、行く回数が少なくてすみ、身体にもいいのは「快感オシッコ」だ。そして、快感オシッコを出せるようになるコツは、「行きたくなってもすぐトイレにいかず、ある程度ガマンすること」なのだという。
渋谷氏によると、膀胱は300mlから500mlの尿を溜めることができるので、300mlほど溜めてからトイレに行っていれば「快感オシッコ」ができる。
ところが、100〜150mlしか溜まっていないのにトイレに行くと、腹圧をかけて息んでオシッコを出すことになる。これを繰り返すと膀胱の筋肉の壁が堅くなり、オシッコが十分に溜められなくなって余計に頻尿になっていくのだという。
子どもに「今のうちにトイレに行っておきなさい」はNG
このように頻尿になるきっかけとして、たとえば、仕事や授業、人と会う前など、ことあるごとに「念のため今のうちにトイレに行っておこう」と、オシッコが溜まっていないのにトイレに行く習慣をつけてしまうことがある。
その結果、まだ膀胱に尿が溜まっていないのに、不安感や緊張感からトイレに行くようになってしまう――。そうなるきっかけをたどっていくと、子どもの頃から母親に「今のうちにトイレにいっておきなさい」と促されてきたケースが多いのだとか。
渋谷氏によると、「不快オシッコ」をする人は最初に尿意を感じたら今やっていることを直ちに中断してトイレに行くのに対し、「快感オシッコ」をしている人は、まだまだガマンできることを知っているから、仕事や読書、テレビや散歩などを、そのまま継続するのだという。
「オシッコを我慢するのは身体に悪い」と思い込んでいる者には、まさに発想の転換だが、いつもトイレに行きたくて気になって仕方がないという人は、少し我慢する習慣をつけてみるのもいいかもしれない。
(文=編集部)