ヒトを対象とした調査でも同様の結果に
ヒトの場合はマウスの逆で、リンパ球が最も多いのは午前中。今回はヒトを対象とした研究を実施していないが、マウス実験からも午前中が最も効果的と推察できる。
じつは英バーミンガム大学で今年、高齢者276人を対象にした研究も行われている。被験者を「午前(9~11時)」と「午後(3~5時)」の2グループに分けてインフルエンザワクチンを接種したところ、1カ月後のウイルス抗体の量は「午前」がより大きく増えていたという。
一般的に、抗体が多いほどワクチンの効果は高まる。同研究グループはこの研究成果について、こう説明している。
「午前中にワクチン接種すれば、より高く安定した効果が得られることが期待される。ワクチンの効果の個人差という問題の解決につながる可能性がある」
特に高齢者は、インフルエンザで肺炎や死亡に至る深刻な事態につながりやすい上、ワクチンの効果が比較的出にくいことが知られている。定期接種となった「肺炎球菌ワクチン」なども含めて、予防接種の効果を上げる工夫に発見に期待したい。
ちなみに、<夜型生活の人には「午後の接種」が効果的>という報告はない。
(文=編集部)