高濃度のPM2.5が検出されたニュー・デリー(shutterstock.com)
大気汚染が原因とされる疾患によって、世界で年間約60万人が5歳未満で死亡している――。
「国連児童基金(ユニセフ)」は10月31日、このような衝撃的な報告書を発表。11月7日からモロッコで始まる「気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)」で、各国に対応を促す狙いがある。
報告書では、約20億人の子どもが、微小粒子状物質「PM2.5」の世界保健機関(WHO)基準を超える地域で生活していると推計。その内の約3億人が、大気汚染レベルの最悪(PM2.5がWHO基準の6倍を超える)とされる地域で暮らしている。地域別では、南アジアが約2億2000万人で圧倒的に多い。
それを裏づけるかのように、インドの首都ニュー・デリーでは10月31日、WHOが定めた基準値の90倍の濃度のPM2.5が検出された(1㎥あたり900μg)。
前日から行われたヒンズー教の祭りの花火の影響で、道の向こう側が見えないほど白い空気が立ちこめたという。心臓や呼吸器に問題がある人や高齢者には、外出を控えるように勧告も出された。
日本でも、外務省が海外安全HPでインド・デリーのスポット情報を発出。大気汚染の激しい時には可能な限り外出を控えることを推奨したほどだ。外出時には、PM2.5を95%以上遮断する「N95」というマスクの着用や、屋内では空気清浄機などの使用とともに、うがいと水分補給を励行した。
若くて健康な成人でも血管が損傷される
当サイトでも、『日本を襲うPM2.5が脳を萎縮させる!? 認知機能の低下につながる可能性が!』 で、PM2.5がもたらすリスクに対して警鐘を鳴らした。
PM2.5で汚染された空気を毎日吸い込むと、脳に変化が生じ、認知機能障害をもたらす可能性があるのだ。
そして、PM2.5にさらされて健康リスクが生じるのは、疾患のある人や高齢者だけではない。新たな知見として、若くて健康な成人でも、血管が損傷される可能性があることが判明した。