肥満を招くジャンクフードへの誘導(shutterstock.com)
このほどWHO(世界保健機関)が、デジタル広告に警鐘を鳴らした。
WHOが発表した報告書によると、スマートフォンのインターネットやゲームなどのアプリ、SNSやブログなどの媒体における、ジャンクフードの広告が、子どもに健康被害を及ぼすという。
スナック菓子やインスタントフードなどのジャンクフードは、これまでもテレビCMなどで大々的に広告展開されてきた。
「なぜ今さら?」と思われる向きもあるかもしれないが、WHOはメディア広告の形態が変化している点を指摘。それに対して、各国の政府が対策を講じるべきだとしている。
今やSNSやブロガーの口コミ宣伝は、テレビCMよりも効果が大きい。受け手にしてみたら、企業からの一方的な広告よりも、ブロガーの実体験に基づくコメントの方が信憑性を帯びていると感じるものだ。
そこにある、企業から報酬を受けたブロガーが宣伝マンになっているというカラクリなど、子どもは<ビジネスの仕組み>なんて頓着しない。
加えて、今回の報告書は、スポンサード・ロケーション(スポンサー付き場所)のリスクに言及している。
広告費10ドルでポケモンを誘い込み、ピザ屋が売上75%アップ
たとえば、ポケモンGOの「ポケストップ」「ジム」に見られる、新しいビジネスモデルだ。
「ポケストップ」とは、ポケモンをゲットする場所、「ジム」とはポケモンを育てたり対戦したりする場所だ。いずれもゲームの中での存在だが、リアルな世界と連動して、バーチャルマップに「ポケストップ」「ジム」として、現実の店舗や企業が登場する仕掛けになっている。
ゲーム上において、そこが重要スポットであれば、ゲームユーザーは実際にそれらの店舗や企業を訪れる。リアルな世界での集客に結びつく。ゲームユーザーを「消費者」へとシフトさせる、まったく新しい広告形態だ。
実際、米ニューヨークのあるピザ屋は、店内にポケモンを誘い込む仕掛けに、広告費用として10ドルを投じたところ、売上が75%伸びたそうだ。
シカゴ美術館も、施設周辺のポケストップの数をアピールするツイートをして、集客率アップを図っている。
大人でもゲームに乗じてこれらの誘致に乗るのだから、ましてや子どもは、行動をコントロールされやすい。