胎児の先天異常である小頭症やギラン・バレー症候群のリスクも!
ジカ熱は、デングウイルスと同じフラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによる感染症だ。流行地でネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されて感染する。
ジカ熱は、どのような症状を伴うのだろう?
潜伏期間は3〜12日。症状の出ない不顕性感染が感染者の約8割を占める。発熱、斑状丘疹性発疹、関節痛、関節炎、結膜充血をはじめ、筋肉痛、頭痛、後眼窩痛、めまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などを示す。症状は1か月以内にピークを迎え、その後6〜12か月で快癒する。
ただし、ミクロネシア連邦ヤップ島の疫学研究の結果、妊婦のジカウイルス感染が胎児の先天異常である小頭症や、運動麻痺によって四肢に力が入らなくなるギラン・バレー症候の原因になることが判明している。健康な成人なら、死亡することは稀だが、重篤な臓器疾患があったり、免疫力が低下している場合は、死亡するリスクがある。
治療は、痛みや発熱に解熱鎮痛剤を投与する対症療法になる。脱水症状が強い場合は、輸液も行われる。
予防は、長袖服や長ズボンを着用する、裸足のサンダルを履かない、昆虫忌避剤(ジエチルトルアミド)を使用するなど、日中に蚊に刺されない工夫が重要だ。とくに妊婦や妊娠の可能性のある女性は、ジカ熱の流行地への渡航を避けなければならない。WHOも外務省も、妊婦や妊娠を予定している女性は、流行地への渡航・滞在を控えるように強く勧告している。
今年7月に米国フロリダ州マイアミ・デイド郡とブロワード郡で初感染。8月下旬以降は、シンガポール、マレーシア、タイで局地的な感染が拡大し、56の国や地域に及んでいる。終息の見込みは立っていない。
まだまだ警戒が必要な状況に変わりはない。
(文=編集部)