限界を越えたら問題児
集計した結果、2400人超の小児のうち約6分の5の層が「週に1時間以上はプレイする」ゲーマー組で、残り6分の1の層が「週で1時間もやらない」非ゲーマー組に区分けされた。
また、前者のゲーマー組ではどの年齢層でも「週平均約4時間」はゲームに興じ、女児に較べて男児は週2時間前後は多く費やしているという実相も明らかにされた。
ゲームのプレイ時間にともなう児童への効用と悪影響の比較においても、なかなか興味深い結果が示唆された。第一に、ゲーマー組は非ゲーマー組よりも「反応時間」が速かった。
実際、小児260人に対して実施された脳MRIの検証結果でも、ゲームの効用が大脳基底核の白質変化に作用し、学習と脳の回路との伝達改善に関連していることが判明したそうだ。
ただし、週2時間以上ゲームに興じる小児の場合、「運動機能」に関しての改善はわずかしか認められず、その傾向は主に女児に顕著だった。さらに「成績面」でもゲーム組の有意が実証されたが、「作業記憶」や「注意力」に関しては非ゲーマー組よりも良いわけではなかった。
前者組への悪影響も当然あるわけで、非ゲーマー組よりも「睡眠時間」が少なくなる特徴はいうまでもなく、ゲーム関連の技能向上も週8時間前後を「限界」として、その後は伸びない傾向も読み取れた。
しかも、この限界点を越えて週9時間以上を興じる子どもの場合、他の児童との摩擦や衝突する傾向が見られ、「社会的行動」面で問題が生じかねない可能性が濃厚だったという。
Pujol氏は「今回の研究結果から、7~11歳の子どもの場合、週1時間から9時間をマックスとするプレイは安全かと思われます。しかし、ビデオゲームを週9時間以上遊ぶことは推奨できませんね」と話すが、注釈として同氏は「この研究で観察された影響が、直接、ビデオゲームによるものだという点は証明できません」とも語っている。
折しも日本では、手のひらサイズの名器復刻版『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』の発売(11月15日)が発表され、予約段階で早くも入手困難(2倍の高値出品者も登場)という注目度。
懐かしの人気ゲームが30種もバンドルされていることから、未知の児童層よりも親世代のほうが当分はハマりそうだ。
そんな事態が自ら予見できる親の方々は、くれぐれも「週9時間以内」の規律見本をお子様に示しましょう。やりすぎは厳禁ですよ。
(文=編集部)