ナイトゲームに強いのは朝寝坊な「夜型」選手であることが判明!

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ナイトゲームには、朝寝坊がオススメ!Ffooter / Shutterstock.com

 日々熱戦が繰り広げられるスキーやステニス、野球やサッカー。考えてみるとシーズン中にデイゲームとナイトゲームの両方がある競技は少なくない。トップアスリートも、夜は眠り、朝になれば起きる、生身の人間だ。しかし、もし「今日の勝利者」を、選手の体内時計が決めているとしたら......。

 人間の1日のリズムを司る体内時計が、アスリートのパフォーマンスに劇的な影響を与える。そんな新しい研究結果が1月29日、アメリカの学術誌「Current Biology」に掲載された。これまでの研究では、アスリートは通常、夕方に最も力を発揮できるとされていた。しかし今回は、アスリートが生まれつき朝型か夜型かによって、能力のピークに数時間も差があることが指摘されたのだ。

朝型と夜型ではピークに8時間もの差

 今回の研究では、若手のトップアスリート121人に、生活習慣に関する詳細な記録をつけてもらい、ひとりひとりの概日リズム(1日周期で変動する生理的なリズム)を同定。その中から、健康レベルが同等で、同じフィールドホッケーをプレーする20名(平均年齢20歳)を選んだ。被験者の内訳は、4分の1が生まれつき朝型(7時起床)、4分の1は夜型(10時頃起床)、そして残りの半数はその中間(8時頃起床)だった。

 そして彼らに7:00〜22:00のさまざまな時間に、6回に分けて心臓血管持久力テストを実施。すると朝型の人は12:00前後、中間の人は16:00ごろに能力のピークがみられ、夜型の人は自己ベストに達するのが20:00ごろと最も遅い結果になった。

 さらに、アスリートの能力レベルは、1日の間で26%も変動することも判明。ピークの時間帯を決める要因は、目覚まし時計を使わず自然に目覚めた起床時刻からの経過時間だった。つまり、その日の試合がナイトゲームの場合、もともと夜型の選手のほうが本番で力を発揮しやすいということだろう。

「1%のパフォーマンスの差が、オリンピックの100m競技の1位と4位の差となり、メダルの獲得を左右するとしたら......。26%の差がいかに大きな影響をもたらすかを想像してみてください」。研究著者の1人、英国バーミンガム大学のRoland Brandstaetter氏はこうコメントしている。

体内時計の調整で試合に勝つ日も来るか

 さらに、今回の知見には多くの実用的意義があると付け加えている。たとえば、アスリートは練習や試合の予定に合わせて睡眠習慣を変えることにより、能力を最大限に発揮できる可能性がある。「ドーピングフリーで能力を向上できる方法を利用しない手はありません」と同氏は述べている。

 ただし、アスリートが本来の就寝・起床時間の傾向を変えることで、本当に能力が向上するかどうかは明らかにされておらず、さらなる研究が必要だ。体内時計を変えることは言うほど簡単なことではなく、単純に起床時間を変えても、従来の体内時計に合っていなければ意味がないという指摘もある。

 しかし将来的には、オリンピックやワールドカップなどの最重要試合に、体内時計の調整を本格的に取り入れる日も来るのではないだろうか。海外遠征での時差ぼけについては言及されてきたが、もう一歩踏み込んで各選手の概日リズムに合わせたケアができれば、本番で実力を100%発揮できるかもしれない。

 今回の結果は、トップアスリートだけでなく一般人にも応用できるそうだ。たとえば、レースを目指して毎日ジョギングをしている人は、自分にとって最も調子のよい時間帯を考慮すれば、トレーニング効果も上がるという。朝一番で運動をしても調子がいまひとつだと感じている人は、思い切って夜型のエクササイズに変えてみるのもいいかもしれない。
(文=編集部)