交際ビジネス急成長のターゲットは<孤独な若者>
<若者なら社会に飛び込んで自分で友だちや恋人を探せばいい>と思われるかもしれない。しかし、今の世相を見るかぎり、それが難しい世の中なのはまちがいない。
独身一人暮らし、家族と同居でも関係が希薄、職場にはプライベートを持ち込みたくないし、腹を割って話せる友人が身近にいるわけでもない、それが若者の実態だ。
がんばって巷のパーティーやサークルに参加したとして、そこで信用できる人を見つけたり、長くつきあえる関係を築くのは、相当のエネルギーがいる。
また、公的サポートには期待できない。孤独な若者の大半は、10代の放課後プログラムを使う年齢ではない。電話やメールのヘルプラインを使うほど行き詰まっているわけではない。ただ孤独なのだ。
交際ビジネスは、決して手放しで賞賛できるものではないかもしれないが、確実に社会のニーズを満たしており、今、急成長している。ターゲットは、孤独な若者だ。
米カリフォルニア大学バークレー校の社会学者、アーリー・ラッセル・ホックシールド氏曰く、<私たちが、年老いた両親の介護に、愛犬の散歩に、子どもの世話にお金を払うように、孤独を深めないためにお金を払う、という時代になっている>という。
孤独の解決は公的なサポートではなく、むしろ民間市場だそうだ。
最初は躊躇するかもしれないが、一歩踏み出してしまえば、交際ビジネスの利用は案外とラクかもしれない。身近な人よりも、よほど守秘義務が保たれているし、自己を評価されるわけでもないし、気を許しやすいといえるだろう。
だが、デートや遊びに行くのはお金がかかるし、非日常的な時間といえる。ちょっとした空き時間に一緒に歩いて話をする。ただそれだけのマッカーシー氏のビジネスは、まるでスポーツジムに行くような、日常の一コマとしてのサービスが心身の健康にいい、と注目されている。
残念ながら、日本の交際ビジネスの相場は1時間数千円以上。マッカーシー氏のようなお手頃価格の交際ビジネスは、まだ登場していないようだ。
本来であれば、孤独の元凶といえる、若者の貧困化を解消できればいいのだが、問題が大きすぎる。目下のところ<孤独の解消>が、個人の健康、ひいては社会全体の健康度を高める近道かもしれない。
(文=編集部)