吸入ステロイド薬が普及しても国内で年間1500人以上が喘息死(shutterstock.com)
「ヒューヒュー」「ゼーゼー」、大人になるにつれて体の機能が強くなり喘息((気管支喘息))が治る子どもは多い。
だが、実は最近では、40〜50代の喘息の発作が増えており、喘息で亡くなる人もいる。
8月15日に32歳という若さで急死した元AV女優の紅音(あかね)ほたるさんも、喘息の急性発作による窒息死だと報道された。
紅音さんの所属事務所によると、大人になってから発症した喘息の影響なのか、朝にひどく咳き込んでいることが多かったという。
床に倒れて亡くなっていた紅音さんは、喫煙していた形跡もあったようだ。昨年10月の自身のブログでは、飲酒によって喘息が悪化し、医師からもストップがかかったことを綴っている。
日本での喘息死亡者数は、1995年の7253人をピークに減少に転じ、2000年には4427人、2006 年は2778人まで減少。2014年に喘息で亡くなった人は1547人(厚生労働省)である。
吸入ステロイド薬の普及もあり、年々減少しているとはいえ、紅音さんの訃報は、あらためて喘息には命の危険があることを認識させた。
秋は喘息発作の患者が倍に増加
厳しい暑さも和らぎ、過ごしやすくなる秋だが、一方では喘息のシーズンである。呼吸器科では、喘息発作の外来患者が他の季節の倍に増えるといわれている。原因として挙げられているのは、気圧の変化、朝晩と日中の気温差、ハウスダストの増加などだ。
喘息は、気道周囲の筋肉の収縮や、粘膜自体がむくむことで発症する。気道の慢性的な炎症が原因となり、外界からのさまざまな刺激に敏感な状態になることが発症の引き金となる。
「喘息は子どもの病気」と思われがちだが、その認識はあらためたほうがいい。2010年12月に開催された「厚生科学審議会疾病対策部会 第4回リウマチ・アレルギー対策委員会」では、成人が発症する喘息(成人喘息)は、この10年で倍増していることが報告されている。
そして先日、 成人になってから喘息を発症した人は、<心疾患と脳卒中のリスクも高くなる>という新たなリスクが報告された。