EUは化粧品の動物実験の完全撤廃を法制化
2013年3月、EU加盟国28カ国は、化粧品の動物実験の完全撤廃を法制化した。化粧品のための動物実験はもとより、動物実験をした化粧品の販売や輸入まで法律で禁止したのだ。
ヨーロッパのこの決定は、コスメ業界にとって大きなインパクトを与えた。輸入規制まではいかずとも、その後、動物実験を法的に禁止する国が続出した。
インド、イスラエル、ニュージーランド、トルコ、南米各国やアメリカなどが、次々に追従。韓国では部分的に禁止、台湾では法案審議が進められるなど、アジア圏にも、このムーブメントは波及している。
ひるがえって日本は、何の規制もなく、完全に企業の判断にゆだねられている。そのため、動物実験を正当化する企業も少なくない。
特に中国への輸出商品がある場合、完全撤廃は難しい。中国では、化粧品に動物実験が義務づけられているからだ。国際基準に逆行しているが、企業の生き残りの前には、動物実験の是非は、机上の空論でしかない。
資生堂、コーセー、ポーラ、花王、マンダムなどが「動物実験を否定」
「スローコスメ」と呼ばれる無添加化粧品や自然化粧品を製造する企業には、原材料にコンセプトをもつことから動物実験を行わないことが多い。
国内にも、世界の潮流に考えを寄せ始めている会社が出てきているが、「動物実験を行わない」という方針を公表しているのは、資生堂、コーセー、ポーラ、花王、マンダムなど、まだ一部である。
動物実験反対の意志を明確にする消費者が、欧米ほど多くないのが一因だろう。<不買運動>を叫ぶような消費者が増えれば、企業はすばやく市場のニーズをキャッチし、動物実験撤廃に転じるはずだ。
動物に犠牲を強いてでも「キレイになりたい」という女性はどれだけいるだろう。いま使用している化粧品について、動物実験の可能性を少しでも確認してはどうだろうか。ちょっと面倒かもしれないが、表層的な美しさだけでなく、心から安全・安心と思えるコスメとの出会いを求めてみてほしい。
(文=編集部)