毎年大量の死者を出すマラリア(shutterstock.com)
9月15日、防衛省は稲田朋美防衛大臣の南スーダン訪問を中止すると発表した。その理由は、服用したマラリア予防薬の副作用だった。稲田大臣は南スーダンの首都ジュバで国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊部隊を視察する予定だった。稲田大臣を襲ったのはどんな薬の副作用だったのか?
年間に3億~5億人の患者、150万人~270万人の死者
南スーダンは東アフリカに位置する内陸国家。2011年にアフリカ大陸54番目の国家としてスーダンから分離独立した。混乱しているこの国の平和と安定のために自衛隊が発見された。しかし現地はマラリアの多発地帯。そこで大臣は事前に予防薬を服用したというわけだ。
マラリアはハマダラカに刺されることで感染する疾患で、熱帯から温帯にかけて発生しており、世界保健機関(WHO)の推計では、100ケ国以上の国々で1年間に3億~5億人の患者、150万人~270万人の死者があると報告されている。そのうちの90%はアフリカ熱帯地方であると報告されている。
ひとたび、マラリアを発症すると40度近くの激しい高熱に襲われ、比較的短時間で熱は下がるも、またしばらくしてぶり返す。その他、頭痛、悪寒、嘔吐というインフルエンザのような症状が周期的に現れる。4種類あるのマラリア(熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア)のうち、特に熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しなければ重症化し、しばしば死に至ることもある。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血などさまざまな合併症もみられる。
マラリアの予防にはまず蚊に刺されないことだ。長袖の服を着て、夜間の外出を避け、夜寝る時は蚊帳をつる。虫除けスプレーを使う。また、蚊がいそうなところに近づくことを避ける。そうした事でかなり防ぐことができる。その他、内服薬を服用することでさらに防げる。以前は、予防接種があったが、現在はなくなっている。
マラリア発症地域への子どもや妊婦の旅行は、避けたほうがいい。子どもはマラリアが重症化しやすいし妊婦は母体の死亡や流産、死産といった事に陥りやすいからだ。