年間550万人が「大気汚染」で死亡! 大気汚染には「布マスク」より「サージカルマスク」

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マスク着用で安全だと錯覚する人々

 ところが、前出のPeltier氏は、環境衛生科学という専門家の立場から、最も一般的に使用されている布製マスクの低性能ぶりを手厳しく斬る。価格やセット枚数の値ごろ感ばかりに捉われず、購入時の選択肢をもっと広く深く熟慮すべきだと。

 「安価なマスクは、明らかに公衆衛生リスクを伴います。マスクを着用さえしていれば自分は安全だと錯覚している向きが多く、大気汚染のひどい地域の住民ほど、そのような錯覚を抱えている可能性がある。たとえば、ディーゼルトラックの脇に立っていようが、マスクさえあれば大丈夫だと思っていたり……」

 実際、用途別の種類選びや価格は念頭に置いても、パッケージの表記まで精査してマスクを購入している人は意外と少ないだろう。

 一例を挙げれば、本来は医療用マスクの呼称でありながら、最近は風邪や花粉用の一般向けもそう呼ばれるようになった「サージカルマスク」。その性能を表わす「BFE」や「PFE」の意味をあなたはご存じだろうか?

知っておきたいマスク選びの「BEF」「PFE」

 BEF(=Bacterial Filtration Efficiency)とは「細菌ろ過効率」を示し、対象となる花粉やウイルス飛沫など3μmの細菌をどのくらい遮断できるかを表した数値。「BEF95%」と表記されていれば、約3μmより大きいものを95%カットできるということになる。

 同様に、PFE(PFE=Particle Filtration Efficiency)は「微粒子ろ過効率」を示し、対象となるインフルエンザウイルスやSARSウイルスなど0.1μmの微粒子をどのくらい遮断できるかを表した数値だ。
 
 ちなみに、スギ花粉の大きさは20~40μmであり、インフルエンザウイルスに至っては0.08~0.12 μmと大きさも段違いなので、マスク選びに違いが出るのは明らかだろう。

 Peltier氏らも研究成果として、頬や顎にあまりフィットしないタイプは敬遠したほうが賢明であり、コーン型の布製マスクやノーズフィットワイヤーでしっかりと密着するサージカルマスクのほうが「保護する効果が高い」と推奨している。

 たかがマスク、されどマスク……。お気に入りの文具選びほどの趣味性には乏しいが、多少はウンチクくらい身につけてからセレクトしてみるのもよいのではなかろうか。
(文=編集部)

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