最低限のコストで「保管」するだけ
問題は「引き取り屋」に引き取られた犬猫の、その後である。稼ぎにするため転売されればまだいいだろう。だが現実は、多くの犬が見殺しにされている。
動物愛護管理法により、業者は「終生飼養の確保を図る」ことが義務づけられ、「引き取り屋」も容易に処分はできない。だから、最低限のコストで「殺さない」という飼育だ。
まとまったお金で引き受けた犬たちを、人里離れた場所で大量にただ「保管」しているだけの引き取り屋は少なくない。暑さ寒さの厳しいプレハブ小屋に、上にも横にもびっしりとケージを並べ、犬を詰め込んでいる。
散歩は行かず、健康管理もしない。水と少量のペットフードを配るだけ。犬たちの末路は、病死や衰弱死だ。そうなれば、生ゴミとして<合法的に処分>できる。
そもそも、隙間産業の水もの商売だから、破綻する引き取り屋ももちろんいる。「殺さない」だけの飼育すら立ちゆかなくなり、大量遺棄したのが、栃木・佐賀・山梨、群馬……と、一昨年から相次いだ犬の大量遺棄事件だ。
環境省は、今年2月から「動物の愛護管理のあり方検討会」を開催して、この問題に取り組んでいる。ただし、現状回避ではなく、日本のペット産業の構図にメスを入れる話し合いをもたなければ、「引き取り屋」に次ぐ、第二の儲けビジネスが生まれるだけだ。
(文=編集部)