嵐・大野クンが映画『忍びの国』で忍者に! 理想的なエネルギー源だった忍者食「兵糧丸」の秘密

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兵糧丸は1個約300kcal、心技体をサポートする疲れ知らずのパワーフード

 携帯食の中でも最も有名な忍者食は、1個食べれば1日動き回れると伝わる「兵糧丸」だ。兵糧丸は、そば粉、モチ米、ウルチ米、ハト麦、キビの粉末にゴマ、松の実・蓮の実、梅干し、ハチミツ、氷砂糖、鰹節・にぼし粉などの魚粉をはじめ、ニンジン(高麗人参)などの薬草・野草・山菜・野菜の乾物や佃煮などを巧みに混ぜ合わせて丸めた非常食だ。その神妙なトータルパワーが忍者の心技体をサポートした。

 1個約300kcalなので最低6個以上食べなければ成人男性の1日に必要なカロリーに達しないが、兵糧丸は腹持ちがいい理想的なエネルギー源だった。栄養価は、穀物・豆類は炭水化物、ゴマ・木の実・蓮の実は脂質・ビタミン・ミネラル、魚粉はタンパク質、野菜の乾物や佃煮は食物繊維が豊富なので、高カロリーかつ栄養バランスがいいうえに、保存性が優れていた。現代のスナックバー やダイエットクッキーといったところか。

 兵糧丸には、飢えをしのぐ飢渇丸(きっかつがん)、のどの渇きを抑える水渇丸(すいかつがん)のバリエーションもある。飢渇丸は、ソバ粉、小麦粉、ニンジン(高麗人参)、山薬(長芋)、甘草、ヨクイニン(ハト麦)の粉末を酒に浸し、乾燥させて丸めた忍者食。滋養強壮効果が高く、日持ちもよかった。水渇丸は、叩いた梅干しに氷砂糖や麦門冬などを加えて丸めた忍者食。梅干しが喉の渇きを和らげ、麦門冬が咳やのどの痛みを抑えた。夏の炎暑も少しは和らげられはずだ。

 このように兵糧丸は、現代人の健康増進に役立つ機能性食品や生薬を活用したサプリメントに匹敵する優れた栄養機能を備えていたことが分かる。

忍者は食育のスペシャリスト!

 『忍者図鑑』などの著作がある黒井宏光氏(伊賀流忍者博物館顧問)は、伊賀流忍者集団「黒党(くろんど)」を拠点に、忍者ショーや忍者食のイベントなどを主催。黒井氏によれば、忍者は「薬食同源」「食は生薬なり」を実践しながら、菜食主義を貫きつつ、五感を磨き、スリムボディをキープしていた自然食と食育のスペシャリストだった。

 大陸文化の叡智を熟知していた忍者は、生命力を漲らせる仙人食・黒五(黒米、黒大豆、黒カリン、黒ゴマ、黒松の実)、栄養価が高い木の実(シイ、クワ、グミ、トチ、クリ、カヤ)、五感を鋭敏にして若返り効果が高い松の実などを特に好んだ。伊賀地方で人気の砂糖菓子のかたやきも、軽くてコンパクトな保存食として忍者の大好物だったはずだ。

 忍者は、天井裏や床下などの狭い所に忍び込み、機敏に動き回らなければならない。太らないように過食を禁じながら、体重60kgを超えないように厳に戒め、ハト麦を餅にして食べてスリムボディを保った。天井に張り付くためには、米俵一俵(約60kg)を親指と人差し指の2本で持ち上げる訓練を重ねた。つまり、自分の体重を米俵以下に保たなければ、片手で天井にぶら下がれないことを知っていたからだ。

 飢えや乾きの極限状態の体験、修行や任務の知恵から生まれた忍者食。地震や災害の非常食として希少価値があるのは言うまでもない。忍者の活きた体験をギュッと濃縮し、健康をサポートしてくれる忍びの深い知恵! 忍者食こそ、多忙でストレスに悩む現代人に必須のスーパーフードにちがいない。

 ちなみに、手裏剣打ちや跳躍力を鍛える修行体験、任務をこなすための記憶術・伝達術・呼吸法などを紹介する企画展「The NINJA 忍者ってナンジャ!?」は、10月10日まで日本科学未来館(Tel: 03-3570-9151)で開催中。忍術書や現代科学を通して、真実の忍者の姿に迫っている。夏休み中に行ってみてはいかがだろう。
(文=編集部)

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