連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第11回

カキ氷でなっても「アイスクリーム頭痛」!? 冷たいものを食べると起こる「キーン」の正体

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危険な温度を知らせる生体反応やセンサー

 口腔や咽頭(特に口蓋や咽頭後壁)の温度が低下する速さ、血管の収縮する速さが関連しているという説もあります。また片頭痛と言われる頭痛持ちの方が、起こる率が高いとの報告もあります。

 また、氷の塊(アイスキューブ)より氷水(アイスウォーター)のほうが起こしやすいとの報告(注3)があります。液体のほうが個体よりも温度の伝導率がよいために、氷水(アイスウォーター)のほうが口腔内温度を急激に下げることが予想されためかもしれません。

 これはあくまで推測ですがアイスクリーム頭痛は、冷たい、熱いなど、人間にとって危険な温度に体がなっていることを知らせる一種の生体反応やセンサーの役割をしているのかもしれません。

 よって、アイスクリーム頭痛を起こさないためには、早く食べないで、ゆっくり食べることが大事です。お茶やコーヒーなど少し暖かいものといっしょに食べると、口腔や咽頭の温度が急速に下がらないので、頭痛を来すことが少ないと考えられています。

 痛くなっても、数分すれば自然に軽快しますので、あわてずに対処してください。
もし、すぐに軽快しないようなら、別の疾患の可能性もありますので医療機関でご相談ください。

 今年の夏に、家族や友人とかき氷やアイスクリームを食べた思い出が、たくさんできることを祈っています。

(注1)国際頭痛分類(訳:日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会)発行2014年10月 医学書院
(注2)Zierz AM,et al. J Neurol. 2016 Jun;263(6):1106-10.
(注3)Mages S, et al. Cephalalgia. 2016 May 19. pii: PubMed PMID: 27206961.


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西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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