足首のケガを侮ってはいけない理由~心臓や呼吸器系の障害を引き起こすリスクが上昇!

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リハビリにはそれだけの価値がある

 米・ノースカロライナ大学シャーロット校の生体工学システムセンター准教授のTricia Hubbard-Turner氏は、今回の報告に対し、足首にケガをしたときの対応をこう助言している。

①十分な期間、足首を安静にして回復させる。

②治癒の過程では可能なら松葉杖を使い、回復したらリハビリを開始。

③リハビリでは、運動訓練(つま先を上下に動かす、足で文字を書く)、強化訓練(チューブトレーニング、足首用ウェイト)、バランス訓練(片足立ち)、さらに機能的な動作(軽いジョギング、ジクザグや8の字を描く運動)を行う。

 「今回の研究で報告されたような悪影響を防止するカギは、安静とリハビリ。重症の場合は数週間スポーツを休むことも必要になるが、長期的な影響を考えれば、十分にその価値はある」とHubbard-Turner氏はコメント。

 日常のケガ予防策としては、風呂上がり後などのストレッチで、全身の筋肉や関節の可動範囲を広げておくことがお勧めだ。

 スポーツをする人は、特に事前のウォーミングアップとストレッチを入念に行うこと。足首に不安のある人は、テーピングやサポーターを使用することも効果的だ。

リハビリはむしろ痛みが消えてからが本番

 豪・Curtin大学で最新の理学療法を学んだ、理学療法士の三木貴弘氏は、痛みが消えたら“治った”と錯覚する怖さをこう説明する。

 「足関節はとても重要な部位。機能面のリハビリをしないと、足首が“弱い”ままなので無意識にかばいがちだ。歩き方などが不自然に変化して、膝や股関節、腰などに負担をかけて悪影響を及ぼす」

 「リハビリテーションの意義は、劣えた機能の回復。むしろ、痛みがなくなってからが本格なリハビリ開始のタイミングである。『捻挫がくせになる』のは、『(筋力などの機能面が)治りきっていない』状態の場合が多い。不安があれば、痛みがなくても医療機関での診療をお勧めする」

 たかが足首のケガと侮ることなかれ。若いときのケアが中高年になってからの健康に大きく影響するかもしれないことを、肝に銘じておこう。
(文=編集部)

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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