リハビリをしないと足首が“弱い”ままに(shutterstock.com)
ほんの小さな段差で足の置き所を間違えて “グギッ”とひねり、思わず焦った体験は誰にもあるだろう。全身の中でも足首は、二足歩行による強い荷重を常に受け止めている。そのため、足首の捻挫や骨折は、激しいスポーツの最中だけでなく、日常生活でも意外と起こりやすい。
実は、こうした足首のケガは私たちが思っている以上に健康面に大きな影響をもたらすかもしれない。足首を負傷した人は、後に身体障害や関節炎、心臓や呼吸器系の障害を起こす確率が高い傾向にあることが、新たな研究で明らかになったのだ。
この新たな知見は今年6月23日、米・ボルチモアで開催された全米アスレチックトレーナー協会(NATA)年次集会で発表された。
日常生活に不自由を感じる人が1割アップ
今回の研究では、3500人以上の成人を対象としたオンライン調査を実施。そのうち半数以上の1800人強が、これまでに足首を負傷した経験があると回答した。
さらに対象者に健康状態に関する質問をしたところ、「日常の活動に“多少”から“完全”な制約がある」と回答した比率は、「足首にケガをしたことがある」人が46%。
それに対して「ない」人は36%となり、ケガの経験がある人が10%上回っていた。
このほか「中等度から重度の身体の痛みがある」人は「ケガの経験あり」が38%、「なし」が27%。「心臓または呼吸器の疾患がある」人は「あり」が31%、「なし」が24.5%。
「足首の関節炎がある」人は「あり」が9.4%、「なし」が1.8%となり、いずれも比率が高くなることがわかった。
研究の著者で、米ケンタッキー大学(レキシントン)リハビリテーション科学部准教授のPhillip Gribble氏は、「双方の差は生涯を通してみられ、特にさまざまな健康問題のリスクが上昇し始める、中年期に顕著になるようだ」との懸念を示す。
さらに、足首の骨折や捻挫をもっと深刻に捉える必要があるとして、「ケガの予防策を強化するとともに、ケガをした後の治療やリハビリを改善して、高い確率で起こる慢性化を減らす必要がある」と述べている。