人命はスマホよりも軽いのか?
しかし、仮に歩きスマホが原因で事故を起こした場合、加害者は程度に応じて、①刑法209条の過失傷害罪、②刑法210条の過失致死罪、③刑法211条の重過失致死罪、などに問われる。いずれも50万円以下の罰金、重度となれば5年以下の懲役もありうる。さらに相手側から損害賠償を求められれば、高額な慰謝料が派生するのはいうまでもない。
一方、最近、米国自動車協会(AAA)が公表した調査結果では、ハンズフリーのボイスコマンドであっても「注意力低下」で事故につながる危険性が否めないとか。英国のGraham Hole氏ら(サセックス大学心理学部)の研究でも同様の危険性が実証されている。
通話時の内容が喚起させる視覚処理能力の影響については過去記事(「ボイスコマンド」でも注意力は低下! 運転中のスマホ操作が事故を招くことに http://healthpress.jp/2015/11/post-2125.html)を参照されたい。
かつて「寝タバコは自分で拝むお線香」という秀逸な川柳を読んで関心した記憶がある。そんな喫煙風景も時代の趨勢で減ってきたが、その作者ならば「歩きスマホ」全盛の世相をどう詠みだろうか。いずれにしても「命」よりも大事な情報などはない。
(文=編集部)