祖母・青柳滝子が再生不良性貧血に……(画像は『とと姉ちゃん』の公式HP)
NHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』が好評だ。4月に放送が開始されて以来、視聴率は20%台をキープ。今回のヒロイン・小橋常子のモデルは、雑誌『暮しの手帖』を創刊した大橋鎮子である。
6月の第4週では、彼女が出版の世界に飛び込んでいく様子を中心にドラマは展開する。その傍らで、父親を亡くし生活に困窮する常子たち家族を支えてきた、彼女の母方の祖母・青柳滝子が再生不良性貧血で床に伏せるシーンも描かれる。それまできっぷのいい江戸っ子っぷりを発揮していた滝子は、病にかかって以降、寝てすごすことが多くなり……。
ただし、大地真央が演じる青柳滝子は、実在の人物ではない。というのも実際、製材問屋を切り盛りしていたのは大橋鎮子の父方の祖父。もちろん祖母は存在していたが、店を切り盛りするような「女傑」ではなく、再生不良性貧血で倒れたという事実もない。
とはいえ、人気ドラマの中の出来事であり、しかも、わざわざ病名まで紹介されたからには、この病気に関心を持った方も多いのではないだろうか。「慶應義塾大学医学部血液内科」のウェブサイトでは、再生不良性貧血について次のように説明している。
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再生不良性貧血とは、骨の中の骨髄にある血液を造るもとになる細胞「造血幹細胞」が減少することにより、白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する病気です。医学的にはこのような状態を汎血球減少(はんけっきゅうげんしょう)といいます。白血球は細菌などから身体を守る細胞、赤血球は肺から取り込んだ酸素を臓器に運搬する細胞、血小板は出血を止める細胞です。汎血球減少が進むと、白血球が減ることによって発熱や咳などの感染症の症状、赤血球が減ることによる動悸、息切れ、疲れやすさ、頭重感、顔色不良などの貧血症状、血小板減少によるアザができやすい、鼻出血や歯肉出血などの出血症状が出てきます。わが国では、再生不良性貧血に罹っている患者数は約5,000人、1年間に100万人あたり約5人の方が新たにこの病気にかかるとされています(以下略)。
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この病気は厚生労働省から難病と指定されており、先天性のものと後天性のものがある。ドラマでは、突然、症状が出ていることから、後天性のものと考えられる。
また、かつては重症患者の1年生存率が、わずが3割しかなかった。しかし現在では、骨髄移植や免疫抑制療法といった治療法の進歩により、約8割の患者が5年以上生存できるようになってきた。