屋外プールの最大の注意点は……
一方、プール保有数が全米2位であるフロリダ州の公衆衛生当局は「消毒液の利用」に関して、次のような見解を示している。
「DBPの削減よりも水を介した感染症を防ぐことのほうが重要かと思われ、適切に運営されていれば公休プールについては安全である」
また、安全性の優先順位を示されるまでもなく、夏場は屋内よりも屋外のプールを選びたくなるのが人情というものだろう。
屋外最大の注意点は「紫外線対策」だが、いうまでもなく紫外線はシミやシワなど肌の老化原因となるばかりか、皮膚がんの発症リスクを高める。
世界保健機構(WHO)も皮膚がん予防のため、「子どものうちから紫外線対策をすべきである」と提言している所以だ。
がん予防よりも水の汚れを敬遠か
ところが、日本国内の場合、学校や自治体の経営する屋外プールで「日焼け止めの使用」を禁止している例は少なくない。
最大の理由は「水の汚れ」を敬遠しての入水禁止事項だが、プールの水質基準を設定する厚生労働省と文部科学省はこれを禁止してはいない。
かつて皮膚科医らが秋田県下の小学校で、児童60人中半数にあたる30人の全身に日焼け止めを塗布してもらい、およそ2カ月間に渡ってプールの水質を調査した(平成19年)。
結果、体育の授業で利用した後の水質検査でも、取りたてて汚染は認められなかった。
それを受けて日本臨床皮膚科学会は平成23年、「学校生活における紫外線対策に関する具体的指針」をまとめ、授業の際も日焼け止めの使用を希望する者には許可するように求めてきた。
だが、教育現場でも自治体施設でも「日焼け止め禁止」の姿勢を崩さないケースが多数だろう。
わが子が学則に逆らうのは難儀でも、私生活で利用する際のプール選びには「日焼け止めの使用」に関する規定をネット検索してみるのも一考だろう。
(文=編集部)