子どもの死の「約3割」が未然に防げた! 15歳未満の死因の約7%に「虐待の可能性」

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幼児死亡率の高さは啓発不足か!?

 こうした現況を憂い、日本小児科学会の「子どもの死亡登録・検証委員会」は、国による「死因把握制度」の早急な整備推進、つまり「防げる死の軽減」を呼びかけている。

 「子どもの死亡登録検証制度(Child death review:CDR)」は、さまざまな情報をもとに系統的に調査を行ない、予防可能な子どもの死亡を減らすことを目標とするもの。効果的な予防策を個人や家庭、社会や政策レベルでも検討し、介入を行なう例も厭わない。

 最初のCDRプログラムが設立されたのは1978年のロサンゼルスで、早くも30年以上が経過している。アリゾナ州における5年間(1995年~)のCDRでは、4806例中の29%が予防可能な死亡と報告された。いまや米国ではほぼ全土、英国をはじめ数多の先進国でも制度化されている。

「1~4歳児」の死亡率が高い日本

 一方、日本の場合は「1~4歳児」の死亡率が他の先進国に比べて高く、2005年の年間死亡数がOECD27カ国中で17位。新生児・乳児の死亡率は低いのに反し、1~4歳児の死亡例が高いという傾向は、先進諸国では見られない日本の特徴だ。

 国立成育医療研究センターの森臨太郎氏(研究所政策科学研究部長)らが2011年の1年間における都内の小児(0~4歳)全死因を調べた結果でも、257例中11症例に予防可能性が読み取れた。そのうち患者側(親)への啓発活動を通して防げた可能性ありと判断できた症例が、全体の83%を占めたという。

 自宅での不慮の事故に止まらず、保育中や指導中の死亡例、徴候を読み取れない自殺案件など、子どもたちの死亡理由は現代社会や世相の鏡でもある。翻って、子どもたちの健康や安全のヒントがそこに隠されてもいるだろう。

 国による制度の整備と、患者への啓発活動の充実が早急に求められている。
(文=編集部)

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