“方言に戸惑う”現場の支援関係者たち〜熊本地震で「方言プロジェクト」スタート

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医療現場にも方言を(shutterstock.com)

 熊本地震による被災地への支援の輪が広がるなか、福岡女学院大学のホームページで「熊本支援方言プロジェクト」が立ち上がった。

 東日本大震災では、他の都道府県から救援に来た人たちと地元との人たちとがやりとりする際、方言がコミュニケーションの妨げとなった。その失敗を繰り返すまいと、東北大学方言研究センターによる協力を得て今回のプロジェクトの立ち上げへと至った。

 熊本県の方言は、北部・南部・東部で大きく異なる。ちなみに、今回、多大な被害が報告された益城町や南阿蘇村、熊本市内で話されている言葉は、東部方言である。

 たとえば、標準語で「エダ」といえば「枝」を思い浮かべるが、熊本北部・南部の方言では「腕」。また、「ベニサシ」といえば通常は「釣り餌」、地域によっては「梅の品種」を指すこともあるが、熊本方言では「薬指」を表す。

 福岡女学院大学のホームページ「熊本支援方言プロジェクト」では、熊本方言特有の身体語彙をピックアップし公開している(2016年4月23日現在、東部方言の医療関係語彙のみ未完成)。現地での被災地支援をお考えの方は、ここに掲載されている方言資料を調達したうえで、現地へと赴いていただきたい。

津軽方言の「ムッツイ」がきっかけに

 日本全国に方言研究を行っている言語学者は多いが、診療分野に特化した方言研究は珍しい。「方言研究を通して得た膨大な知識を医療・看護・福祉の現場に届ける」をモットーに、診療方言学の先駆者として日々研究に励んでいるのが、弘前学院大学文学部の今村かほる教授だ。

 今村教授の方言研究者としてのターニングポイントは、2005年、研究室にかかってきた福祉施設の職員の方からの1本の電話だったという。津軽方言の「ムッツイ」という言葉の意味が分からず、「標準語のどの言葉に相当するものなのか教えてください」という内容の電話であった。

 津軽方言では、飲み物なしでモノを食べた時の口の中の感覚を示す時、「ムッツイ」という言葉が使われるが、今村教授によれば「ムッツイ」に相当する標準語は存在しないという。

 福祉の現場では、利用者の状態を考慮し、「常食」「軟食」「刻み食」といった摂取方法が検討される。そのような状況下で発せられる「ムッツイ」には、単なる調理法のみならず、身体機能の低下の問題も秘めている。

 人の安心・安全な生活を見守っていくうえで方言が重要な位置づけにあると感じた今村教授は、2011年の東日本大震災以降、診療分野の方言研究に対して精力的に行っている(以上、今村かほる方言研究チームのホームページより)。

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