膠原病患者が女性に多い理由は?
――なぜ女性に多い疾患でしょう?
膠原病の種類にもよるのですが、膠原病は発症年齢と性差が割と明らかな疾患です。たとえば関節リウマチでは、発症年齢が30~60歳で約80%が女性とされています。全身性エリテマトーデス、我々はSLEとも略して呼んでいますが、このSLEの発症好発年齢は20~40歳と若年であり、約90%が女性に発症するとされています。
また、全身性強皮症も30~50歳に好発し、約70%が女性に発症というようにです。
――膠原病の原因は何でしょう?
膠原病発症の正確な機序ははっきりとしていません。しかし、遺伝要因と環境要因の両方が関与して起こるとされています。環境要因というのは、生活習慣病や悪性腫瘍、アレルギー性疾患、感染や外傷、出産や閉経などです。
出産や閉経後によるホルモンバランスの急な変化が関与しているかもしれないとされています。また、遺伝要因といっても、病気のなりやすさの体質が受け継がれることはありますが、両親のどちらかが膠原病だからといって、必ず子供も膠原病が発症するわけではありません。
――膠原病の予後は悪いのですか?
先ほどもお話ししたように、膠原病は、慢性疾患です。ごくまれに膠原病が完治することもあるようですが、ほとんどの患者さんは病気と上手に付き合っていくことが望まれます。
経過が長期に渡るため、治療を中断するなど緩めると、せっかく落ち着いていた病状が再燃したり、悪化したりすることもあります。専門医の元で、病気と一緒に付き合っていく覚悟で臨んでもらいたいですね。
仕事や主産を諦めることも全くありません。多くの患者さんは、膠原病と上手に共存しながら生活をしています。
(取材・文=夏目かをる)
田中栄一(たなか・えいいち)
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター膠原病リウマチ内科・講師。1994年、滋賀医科大学医学部卒。専門は関節リウマチのコホート研究、関節リウマチの医療経済学。