いまやゲーセンは老人天国(shutterstock.com)
自動ドアを開けたら、そこは老人天国だった!? デイサービスの話ではない。繁華街にあるゲームセンター内の光景である。平日昼間の「ゲーセン老人急増中」の噂は本当だった。
ゲーセン業界の売り上げは2006年がピークで、リーマンショックの2008年から翌年の2年間では約25%も売り上げが急降下。しかし、それ以降は落ち込みも小幅化し、2014年度は主要7社の決算が前年比で10年ぶりのプラスに転じる。閉店ラッシュ下で生き残り店への移動が増加する「減収増益」現象のため、ここ数年は下げ止まり状態だと斯界筋は語る。
もちろん、スマホ(ゲーム)登場以降の凋落(若者離れ)ぶりは目も当てられないゲーセン業界だが、そんな陰り気味の未来図を多少なりとも照らし出した救世主が御参上。それが数年前から同時多発よろしく、繁華街の娯楽場に出没し始めた団塊老人層なんだとか。
かつて荒野をめざした青年OBの居場所
リタイア盛りの団塊世代の中には暇も小銭も持ち合わせているが「居場所」や「行き場」がない、ないしは「無趣味」で手持無沙汰な孤独派も少なくない。彼らがゲーセン老人に変身する契機は様々なようだが、「ある日、トイレを借りに入ったら同世代の方々がとても愉しそうに遊んでいたので」自身も常連になったという老婦人もいたりする。
また、夫の定年前からゲーセン通いに目覚めて仲間数を増やし、リタイア後の同伴亭主が妻の「顔の広さ」に驚いたなんて逸話もある。少し上の世代が嵌ったゲートボールは妙な生真面目さが鼻につくし、デイサービスの年寄り扱いも鬱陶しい……とかくこだわり系の、団塊スタイルを貫きたい向きにはゲーセン仲間の関係性の緩さがいいのかもしれない。
彼らの筆頭人気機種が、いわゆるメダルゲーム系と呼ばれる疑似ギャンブルマシンだ。換金こそできないが低資金(100円玉)で一日中遊べて、元来が子供向けゲームなのでルールも簡単だ。筐体自体が大きく、スマホや家庭機に比べて操作機や画面も大きさも「さながら老人仕様」と言えなくもない。