空気中に飛散した粉塵からセシウム
鼻血と被ばくの因果関係については、西尾医師はこう説明する。
「事故当時、空気中には粉塵がたくさんあった(空気中の粉塵が多ければ、それだけで鼻血ができるという論文もある)。つくば気象研究所の人の測定データでは、3月15と21日にピークがあり、採取した0.5~2.5ミクロンの大きさの塵を放射線のイメージングプレートで見ると黒点がたくさん現れた。これは放射線そのもの。スペクトルメーターで測るとセシウムを出す微粒子でした」
「放射性浮遊物を呼吸で取り込むと、鼻腔、咽頭、器官、口腔粘膜を含めて広範囲に被ばくし、汚いものは繊毛運動で外に押し出そうとする。鼻の入り口近くのキーゼルバッハは最も静脈が密集していて、ここに放射性物質がたまり、影響を受けやすい子が出血しても不思議ではない」
政府が言うようにストレスが原因
「ストレスによって円形脱毛症、胃潰瘍、うつなどにはなりますが、政府が言うようにストレスが原因で鼻血が出ることはありません。『500msvの放射線量を浴びないと鼻血は出ない』と主張しますが、その場合、白血球、血小板、赤血球が減り、何より下痢をします」
「ところがあの当時、そんなたくさん放射能を浴びていません。鼻血は全身症状として出ているわけではないんです」
微量なのに「被ばく」は大げさか?
「セシウムなどの放射性物質が付着した塵やホコリを鼻に吸い込むと、付着した鼻腔内の粘膜で局所的に放射線を浴び続けることになる。私はこの原理を用いた放射線治療を長年行ってきました。放射線を出すラジウムやセシウムを用いて、患部に照射するんです」
「そのため、私の利き手(右手)は微量でも被ばくし続けてきたので、右手のほうだけ“こわばっている”んです」
西尾医師は、「事故後の急性期の影響がおさまって鼻血を出す人が少なくなったことから、鼻腔を診察したこともないと思われる専門家と称する学者たちが、政府や行政を巻き込み鼻血と放射線の影響を全否定しているにすぎません」と強調した。
(文=編集部)