連載「病理医があかす、知っておきたい“医療のウラ側”」第8回

ニホンザルには閉経がない~日本人の長寿は“自然の摂理”に反している!?

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生活習慣病が50歳以上で急増するのは極めて自然

 がんを含めた生活習慣病が50歳以上の人に急増するのは、いってみれば、極めて自然な現象なのだ。医療をはじめとするさまざまな人間科学の進歩・普及は、間違いなく私たち人間(個人)の生活に快適さをもたらしてくれている
 
 だが、果たして、人類という哺乳動物の“種の保存”に本当に前向きに貢献しているといえるだろうか。戦後、日本人の平均寿命は30年近く延びたが、いったいこの延びのどれほどが医療によるものだろうか。ある計算によると、おそらく1年分にも満たないのではないかという。

 寿命の延びを大きく支えたのは、経済的裕福さからくる安全な食事、空調や上下水道の整備、交通手段の発達、教育の浸透など、社会のインフラの発達によるとする見方が正しいだろう。医療者としてはちょっと寂しい数字だが――。

 私も50歳に近づいた1995年時点を振り返ってみると、いったん死んだつもりで次の新たな仕事に取りかかるべきタイミングかもしれないと思いつつ、精一杯の挑戦を始めていた。およそ200年昔の伊能忠敬がそうであったように。

 ああ、ある展覧会で見た、里帰りした『伊能図(大日本沿海輿地全図)』の見事さにはため息すら出なかった。地図の正確さのみならず、全国津々浦々、離れ小島を含めて歩き尽くしたことは実に驚異的である。しかも、あれが50の手習いだったとは! ぜひあやかりたいあこがれの人物だ。


連載「病理医があかす、知っておきたい“医療のウラ側”」バックナンバー

堤寛(つつみ・ゆたか)

つつみ病理相談所http://pathos223.com/所長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。2017年4月~18年3月、はるひ呼吸器病院・病理診断科病理部長。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

堤寛の記事一覧

堤寛
難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

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一般社団法人日本薬業研修センター漢方講座執筆・編…

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小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

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