清原被告の保釈金500万円は支払い能力の低さの表れ? 金額はどう決まる?

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保釈金500万円や安いか高いか?shutterstock.com

 3月15日、東京地検は、覚せい剤取締法違反(所持)の罪で逮捕・起訴していた元プロ野球選手の清原和博被告(48)を同法違反(使用)の罪で追起訴。3月17日、東京地裁は保釈を認める決定を出し、清原被告は保釈金500万円を支払って保釈された。逮捕から44日後の釈放になる。

 午後8時59分ころ、清原被告は、窓をカーテンとシートで覆ったワゴン車に乗って警視庁を出発。持病の糖尿病などの検査入院のため、千葉県松戸市内の民間総合病院に向かった。この病院は、女優・米倉涼子さんが出演したテレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」のロケ地にも使われた。清原被告は、本館7階にある1日54,000円の特別室に滞在しているとみられる。

 初公判は5月17日に東京地裁で開廷の予定だ。

裁判に出なかったり、逃亡や証拠隠滅を図れば、保釈は無効!保釈金は没収!

 さて保釈とは何か?

 保釈は、保釈金(保証金)の納付を条件に、勾留されている被告人の身柄の拘束を解き、釈放する手続きだ。起訴された被告人にだけに認められ、起訴前の勾留に保釈は認められない。重大犯罪や証拠隠滅の恐れがない限り、請求があれば裁判所は認めなければならない。

 清原被告の場合は、覚せい剤取締法違反(使用)の罪の追起訴を待って保釈されたことになる。

 保釈は、刑事裁判における推定無罪の原則に基づいて、逃亡や証拠隠滅の心配がなければ、保釈金を担保に被告人の身柄を自由にする制度だ。被告人の出頭を確保することによって刑事裁判を円滑に行ったり、被告人の社会生活の維持や改善を図ることをめざしている。

 ちなみに、推定無罪の原則は、被告人は有罪と宣告されるまでは無罪と推定されるという基本原則。つまり、検察官が被告人の有罪を証明しない限り、被告人に無罪判決が下される(被告人は無実を証明する責任を負わない)。被疑者の人権を配慮した近代法の根幹をなす普遍的な法理論だ。

 だが、保釈中の被告人は裁判所からの出頭命令に必ず応じることを義務づけられる。被告人が条件に違反して逃亡や証拠隠滅を図れば,保釈はすぐに取り消され,保釈金の全部や一部が没収される。これを保釈金の没取(ぼっしゅ)と呼ぶ。没取された保釈金は、国庫の雑収入(懲罰及び没収金)として歳入扱いになり、一般会計に組み込まれる。

 ただし、条件や義務に違反せずに裁判を迎え,裁判手続が終了すれば、納付した保釈金はすべて返還される。厳密には、判決の言渡を受けた日に還付手続ができるようになる。

 保釈金の相場は、およそ150万円~200万円といわれる。保釈金は、現金納付が原則だが、特に裁判所の許可があれば、有価証券または裁判所が認める被告人以外の人が提出した保証書も有効になる。

 清原被告は、どのように保釈金500万円を調達したのか?報道や公式発表はないので、定かではない。50億円近いと言われる生涯年俸を考えれば500万円は意外に安い。当然支払い能力を考慮に入れられるため、覚せい剤の購入などで経済状態はそれほど良くないのか。当然プロ野球界から当然の追放となるであろうから、この先の安定収入のメドも立ちにくい。

 刑事訴訟法93条2項は「保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない」と定めている。

 保釈金を支払えない場合は、保釈金を立て替える一般社団法人日本保釈支援協会や金融業者もある。

 トリビアになるが、犯罪白書や司法統計などによると、国内の保釈金の最高額は、ハンナン事件で浅田満ハンナン会長が納入した20億円、保釈金の没取最高額は、イトマン事件の許永中の保釈中の逃亡による6億円だ。

 覚醒剤は極めて依存性が高い。誘惑や恐怖と死闘する日々が清原被告を待ち受ける。
(文=編集部)

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