中井美穂さんが明かす「人工肛門」経験~オストメイトへの理解を広げる初告白

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ストーマ(人工肛門)は「器具」ではない!

 人工肛門の場合、実際の直腸と違って「便を貯める」とか「我慢する」働きがない。腸内で消化吸収される都度、便意もなく(=本人の意識とは無関係に)便が排出される。そう、装着当時をふり返った中井アナの実感どおりだ。

 消火器系は小腸ストーマ(=イレオストミー;Ileostomy)と結腸ストーマ(=コロストミー;Colostomy)に大別される。造設の原因は、疾患によって異なるものの、永久的なストーマと、のちにストーマを“閉じる”一時的なものに分かれる。つまり、中井さんは後者の体験例だ。

 人工肛門自体は「器具」や「機械」ではない。そこが一番誤解されやすい(されている)部分だろう。患者自身の腸の一部をお腹の外壁に出し、そこを「便の流出口」とするものだ。

 それは粘膜なので赤色をしており、粘液や腸液が常時分泌されているから乾きもしない。

 Stomaの語源はラテン語で「乳頭状に突き出した口」の意味。装具は直接皮膚に張り付く面板(=皮膚保護材)と、便を受け止める袋(パウチ)から成る。

 中井さんの体験当時から進化を重ねた最新型装具は、防臭効果も耐水効果も大変優れている。交換は通常週2~3回だ。

 装具による見映えの違いと排便習慣(管理)が変わる以外は別段、従来の暮らしぶりと変わらない。パウチ内に溜まった便を棄てれば入浴も問題ない。

 小さくタオルで隠せる入浴用パウチもあるので温泉行きも可。食事制限も軟便や臭いを強める食品に注意する程度だ。

オストメイトへの理解が広まる

 装具代は医療保険が適用されないので基本は自己負担だが、医療控除の対象となる。また、永久的な人工肛門を造設した場合は、社会保障制度によって国から装具代が支給され、手術直後から身体障害者の内部障害4級が受けられる。装着後の妊娠も出産も可能だ。

 折しも中井さんの告白と相前後して、話題の医療ドラマ『フラジャイル』(フジテレビ系)の第4話でも「人工肛門造設」をめぐる医師同士の議論場面が描かれていた。

 芸能界では渡哲也さんが1991年に大腸がんを公表した際、オストメイト(Ostomate;人工肛門保有者)である事も明かしたのが有名。今回の中井さんの告白も、オストメイトへの周囲の理解を広める効果を生むだろう。
(文=編集部)

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