連載「死の真実が“生”を処方する」第22回

受刑者の高齢化で矯正施設が“医療崩壊”の危機! 刑務所・拘置所・少年鑑別所も医師不足

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
4153-2.jpg

刑務所も医師不足(shutterstock.com)

 いま、矯正施設では医療従事者の不足という問題が起きています。

 検挙された犯罪者は、矯正施設でも他の人と同様の医療を受けることができます。収容者の健康を維持し、社会復帰の段階で疾病を拡散させず、蔓延させない環境を保つ意味でも、それは重要なことです。しかし現在、矯正施設では医療従事者が不足している問題があるのです。

 犯罪者の多くが矯正施設に行きます。代表的なのは刑事施設で、主として受刑者を収容して処遇を行う刑務所(少年刑務所を含む)と、刑事裁判が確定していない未決拘禁者を収容する拘置所があります。拘置所は全国で77本所、111支所存在しています。

 そのほか、主として家庭裁判所から観護措置の決定によって送致された少年を最大8週間収容し、専門的調査や診断を行う少年鑑別所(全国で51本所、1分所)、主として家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し社会不適応の原因を除去し健全な育成を図ることを目的に矯正教育を行う少年院(全国49本所、3分院)があります。また、婦人補導院が1庁あります。

矯正医療体制の確保は国の責務

 これらの施設では、法的に受刑者を拘禁しています。しかし、受刑者も医療へのアクセス権は確保されなければなりません。したがって矯正施設内でも、一般と同様の医療を提供する必要があります。

 具体的には、受刑者の健康を管理するとともに、施設内での疾病の流行(インフルエンザの蔓延や結核の集団発生など)を予防する必要があります。もし受刑者が感染症の治療がされていない状態で一般社会へ出たら、さらに世間に疾病を蔓延させることにもなります。それゆえ矯正医療体制を確保することは、国が行う重要な責務の一つです。

 これについては、刑事収容施設法には、次のように定められています。

 「刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし、適切な保健衛生上及び医療上の措置を講じるものとする」

矯正施設における医療崩壊も進んでいる

<治療の中断>を減らした「オンライン診療」~会社やカフェからアクセスする患者たち
インタビュー「自宅や職場からの遠隔診察を可能に」第3回:新六本木クリニック・来田誠院長

第1回:<治療の中断>を減らした「オンライン診療」~会社やカフェからアクセスする患者たち
第2回:通院不要の「オンライン診療」~支払いはクレジット決済、薬は院外処方箋を自宅に配送
第3回:<治療の中断>を減らした「オンライン診療」~会社やカフェからアクセスする患者たち
 「5大疾病」のひとつとされ、もはや誰でもかかりうる病気となった精神疾患。その治療は長い期間にわたることが多いため、通院には負担がかかるのが常だった――。そんな精神科の診療をオンラインで行うことを可能にし、利便性を高めたのが新六本木クリニックだ。

大阪大学大学院言語文化研究科教授。米国ウィスコン…

杉田米行

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志

藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。慶應義塾大…

堤寛