日本の移植希望登録者数は1万3000人を超える(shutterstock.com)
現在放送中のドラマ『わたしを離さないで』(TBS系・毎週金曜日22時~)では、臓器提供者として生きる運命を背負った若者たちを、綾瀬はるかさん、三浦春馬さん、水川あさみさんらが演じている。
日本臓器移植ネットワークによれば、日本の移植希望登録者数は1万3000人を超えるが、実際に移植を受けられるのは年間300人程度だという。
移植先進国の米国やイタリア、オーストラリア等でも臓器不足は深刻で、例えば米国の臓器移植医療の統括的機関であるUNOS(Untied Network for Organ Sharing)では、ドナー拡大のために担がん臓器の利用も検討している。移植のための技術は進歩しても、臓器の供給が追い付いていないのが現状である。
そのようななか、移植用の組織や臓器を3Dプリンターで作製できる可能性があるとの報告が「Nature Biotechnology」(オンライン版2月15日)に掲載された。
3Dプリンターによる人工臓器の限界
「バイオプリンター」という3Dプリンターを用いて細胞を層状にプリントアウトし、身体組織や臓器を作製する試みは以前から行われていた。日本でも2014年、名古屋大学にて、患者のCTスキャンのデータを基にして3Dプリンターで肝臓模型を作製し、手術に活用する試みが成功している。
しかし、これまでの技術では、構造物ならば作成できても本物の臓器を作成するとなると強度の点で限界があり、また栄養と酸素を供給する血管が確保できないという課題があった。血管が確保できなければ、組織は生きることができない。この問題を解決できない限り、本物の臓器は作成できない。