シリーズ「冬こそ注意したいちょっとした病気の兆し」第3回

血流が悪くなる冬場に多い「大動脈瘤破裂」の恐怖! 俳優の阿藤快さん、藤田まことさんも帰らぬ人に……

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大動脈瘤の原因は高血圧と喫煙(shutterstock.com)

 大動脈瘤破裂は、血流が悪くなる冬場に発症率が高くなる病気だ。

 大動脈は、心臓から出て胸部、腹部につながる血液の大脈流、まさに生命活動の根幹を支える屋台骨。全身で最も太い大動脈の血管(直径20~30mm)は、胸部から腹部にかけて走るいわばヒトの幹線道路だ。

 心臓の左心室から出た血液は、大動脈を通って全身に血液を送り出し、脳、腎臓、肝臓などの臓器に栄養を運んでいる。上行大動脈は、頭頸部に分岐を送るために、大動脈弁から上に向かう。頭頸部では、栄養を運ぶ3本の血管(腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈)に枝分かれし、胸部大動脈となって胸部に入る。

 胸部大動脈から横隔膜までを下行大動脈、横隔膜から下を腹部大動脈という。その後、大動脈は、腹腔動脈、腎動脈、腸間膜動脈、卵巣動脈、精巣動脈、腰動脈、総腸骨動脈に枝分かれして終わる。大動脈は、バウムクーヘンのように、内膜、中膜、外膜の3層構造になっている。

 日本循環器学会などの7学会が策定した「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版)」によれば、大動脈に関わる疾患は、大動脈解離、解離性大動脈瘤、大動脈瘤に分けられる。

 大動脈解離は、主に高血圧による大動脈壁の劣化が原因で、内膜、中膜、外膜の3層構造のうち、中膜に生じた亀裂から血液が入り、中膜が剥がれ落ちる(解離する)ために、大動脈壁が内膜と外膜の2層に分離される病気だ。

 突然の激しい胸や背中の痛みを伴って発症する急性大動脈解離は、冬に多く、夏に少ない。日本人の循環器疾患による突然死では、急性心筋梗塞に次いで死亡率が高い救急疾患だ。

 大動脈解離は、大動脈の出発点である大動脈起始部(バルサルバ洞)から心臓にかけて解離が進むと、心筋梗塞、大動脈弁閉鎖不全症、心嚢に出血する心タンポナーデなどの合併症を引き起こす。さらに、解離によって血管が閉塞すれば、脳梗塞、脊髄梗塞、腸管虚血や下肢の虚血を発症するリスクが強まる。これらの病態の救命率は、手術を行っても70%以下と低く、血管疾患の中でもとくに重篤な急性疾患だ。

 大動脈解離は、発症者の3分の2に高血圧が見られ、男性が女性よりも3倍も多い。加齢に伴って発症しやすく、約半数は60歳以上だ。大動脈解離のうち、大動脈の直径が拡大し、大動脈壁にコブが形成された場合を、とくに解離性大動脈瘤と呼ぶ。

ショック死する大動脈瘤破裂の真犯人は、高血圧と喫煙

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