実際、教育現場でも文部科学省が昨年4月、『性同一障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について』と題した通知を全国の小・中・高校に出して、性的少数者の子供たちを支援するよう呼びかけた。
こうした問題に早くから取り組んできたのが埼玉県新座市だ。心と体の性が一致せずに悩んできた市内の女子中学生がズボンの制服着用で通うことを認めた実例もある。また、市内23の全小中学校に多目的トイレが設けられている。
こうした世の中の流れに『あさイチ』の司会者、V6の井ノ原快彦さんは「これを観てアライさん(理解者)になろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」と発言し、放送後はネット上で称賛の声が飛び交った。
一方、そんな趨勢を逆行する発言で昨年11月に集中砲火を浴びたのが、海老名市議・鶴指眞澄氏によるTwitterでの「(同性愛者は)生物の根底を変える異常動物」という発言だ。ネットでの炎上には謝罪・削除で対応したが、辞任の意思はなし、差別批判には「それも個人思想への逆差別では!?」との意見も寄せられている。ゆく年・くる年を挟んでの両者の好対照発言は潮目の境目が俯瞰できるようで興味深い。
「日本の社会のためには、みんなが気持ちよく仕事できるのが一番いいわけじゃないですか。制度とか難しいと思うけど、そういう方向に向かっていくしかないんじゃないかな」、これも『あさイチ』での井ノ原氏の談話。
彼はその企業戦略用語こそ用いてはいないが、時代相に応じて性別や国籍、年齢や宗教(あるいは性自認)の壁も取り払って多彩な人材がそれぞれ能力をフルに発揮できる環境づくりを整えるダイバーシティ(diversity;多様性)の考え方そのものだ。
さて、とかく同質を重んじる日本社会は「13人に1人」のLGBT人材をどう受け入れてゆくのか。「成りたい人にな(れ)る!」時代の夜明けは近いのか!?
(文=編集部)