不整脈は重篤な病気の前兆/shutterstock
中国の古代医学では、ツボ(経穴)とツボを結ぶ筋道を経脈(けいみゃく)と呼び、人体にある12の経脈は、15の脈絡(血管)と繋がりながら、血流をコントロールしているとする。また、祖先から子孫へ血統やDNAが伝わるように、師から弟子へ仏教の教義が伝わることを血脈相承(けちみゃくそうじょう)という。
ツボが連なれば「経脈」、血筋が受け継がれると「血脈」、山並みが続けば「山脈」、顔が繋がると「人脈」、マネーがマネーを呼べば「金脈」、気心が合うと「気脈」、気持ちが共鳴すれば「一脈」、リズムやモラルが狂うと「乱脈」、医者が脈を取れば「検脈」、脈(心拍数)が乱れれば「不整脈」だ。
筑波大学大学院・病態制御医学循環器内科学の青沼和隆教授によれば、不整脈とは、自律神経(交感神経と副交感神経)の興奮、虚血性心疾患、その他の心臓の病気によって心筋の電気系統に異常が生じるために、脈(心拍数)が乱れる状態だ。
脈(心拍数)は、心臓が1分間に拍動する回数(bpm)のこと。脈拍(数)ともいう。成人の安静時心拍数は、男性60~70回、女性65~75回。拍動が最も速くなった時の最大心拍数は、年齢が高くなるほど下がり、成人は「220−年齢」、高齢者や低体力者は「215−年齢」だ。自律神経(交感神経と副交感神経)によって制御されている心臓は、血液を送り出すと動脈に拍動が生じ、交感神経が優位になると脈(心拍数)が増える。
100〜400回(bpm)で頻脈性不整脈
心拍数が乱れる不整脈は、頻脈性不整脈(頻脈)と徐脈性不整脈に分かれる。
頻脈性不整脈は、心拍数が速くなる不整脈で、100〜400回(bpm)の状態をいう。心拍数が速くなりすぎると、心臓は血液を効率的に送り出せなくなるため、心臓は心停止発作を起こす。頻脈には、心房で起きる上室性頻脈と心室で起きる心室性頻脈がある。頻脈性不整脈の状態になると、脈の乱れ、息切れ、動悸、めまいの他、立ちくらみ、突然の虚脱感、痙攣による失神などの症状が現れる。
頻脈性不整脈の原因は何か? 高血圧などの心臓疾患、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患(アテローム性動脈硬化症)、心臓弁膜症、心不全、心筋症などの先天性心筋疾患をはじめ、感染症による心筋への血流低下、甲状腺疾患、肺疾患、電解質異常、アルコール依存、カフェイン入り飲料の大量摂取、薬物乱用、ストレスなどが重なると、発症リスクが高まる。
頻脈性不整脈の治療には、薬物治療、植込み型除細動器(ICD)による治療、カテーテルアブレーション治療、外科手術などの非薬物治療がある。植込み型除細動器は、心臓が突然速く拍動し、ポンプの役割を果たせなくなった場合に、電気刺激を心臓に送り、規則的な拍動に戻す治療法だ。