連載「更年期をのりこえよう!」第10回

女性の体を支えるエストロゲン。その減少で引き起こされる「更年期高血圧」とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
new_kouketu.jpg

不安定で変動しやすい更年期高血圧shutterstock.com

 卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンは、女性のからだを若々しく保つために働いているホルモンだ。その作用は身体のすみずみに及んでいるため、エストロゲンの急激な減少は、美容と健康の両面で女性のからだにドラスティックな変化を与える。

 エストロゲンが減少すると、美容面では肌に潤いがなくなり、乾燥してかゆみが生じたり、しわやたるみが気になるようになる。髪からも艶やハリが失われていく。からだの水分保持力が落ちるため、ドライアイやドライマウスといった症状に悩まされる人もでてくる。

 しかし、最も大事なエストロゲンの仕事は、女性のからだを多くの疾患から守っていることだ。このため、エストロゲンが減少する更年期に入ると、女性はさまざまな疾患にかかるリスクが高まる。その代表的な疾患が、高血圧、高脂血症、糖尿病などである。

 かつては「成人病」と呼ばれていたこれらの疾患は、偏った食生活や運動不足、喫煙や飲酒などの生活習慣よって引き起こされることが明らかになり、今日では「生活習慣病」と呼ばれている。男性の場合には、文字通り日常生活の不摂生によって発症するケースがほとんどだ。しかし、女性の場合には、とりたてて不摂生をしていなくても、更年期を境にこれらの疾患にかかるリスクが相対的に高まるのである。なぜなら、エストロゲンがこれらの疾患の発症を抑える働きをしているからだ。

 エストロゲンの守備範囲は、美容面から疾患の予防、健康維持まで幅広い。そう、エストロゲンは働き者なのだ。女性のからだをみずみずしく保ち、多くの疾患から守ってくれる守護神。それがエストロゲンなのである。

 ここからは、エストロゲンという後ろ盾を失う更年期以降の女性が、リスクの高まる生活習慣病に対して、どのような対策を取ったらよいのかを考えていこう。

更年期高血圧の特徴は、血圧が不安定で変動しやすいこと

 女性の高血圧は更年期を境に急増する。統計によれば、少し高めという予備軍まで含めると、40代では3人に1人、50代では2人に1人が高血圧であるという。

 エストロゲンには、血管をしなやかにして拡張させる働きがある。このため、更年期に入ってエストロゲンの分泌が減少すると、血管の柔軟性が低下して、血圧が上がりやすくなるのである。

宮沢あゆみ(みやざわ・あゆみ)

あゆみクリニック院長。早稲田大学卒業後、TBSに入社し、報道局政治経済部初の女性記者として首相官邸、野党、国会、各省庁を担当。外信部へ移り国際情勢担当。バルセロナオリンピック特派員。この間、報道情報番組のディレクター、プロデューサーを兼務。その後、東海大医学部に学士編入学。New York Medical College、Mount Sinai Medical Center、Beth Israel Medical Center へ留学。三井記念病院、都立墨東病院勤務などを経て「あゆみクリニック」を開業。働く女性に配慮して夜間や土曜も診療しており、思春期から更年期までの女性のトータルケアに力を入れている。
あゆみクリニック」完全予約制。診療日:月,火,木 11:00~14:00 17:00~20:00 土 11:00~16:00

宮沢あゆみの記事一覧

宮沢あゆみ
美容界で異彩を放つ「炭酸ジェルパック」とは?細胞からのアンチエイジングとケアが大切
インタビュー「炭酸美容とはなにか?」後編:メディオン美容皮膚クリニック院長・日置正人氏

前編『炭酸ケアの第一人者、褥創の治療経験から生まれた「炭酸ジェルパック」』

美容の世界でも異彩を放つっている「炭酸ジェルパック」。 皮膚科・内科の医師として長年、炭酸の医療的な研究に携わり、その研究の成果として画期的な美容素材「炭酸ジェル」を開発した日置正人医師に、その開発の過程や効果について聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆