
高齢者には「運転しない・させない」が警察の方針(shutterstock.com)
高齢ドライバーによる事故が目立っている。
10月28日には、宮崎県宮崎市で73歳の男性が運転していた軽乗用車が歩道を700mにわたって暴走。2人が死亡し、4人が重軽傷を負う事故が起こった。この男性は認知症やてんかんで入院歴があり、事故を起こした際は、てんかんの発作を抑える薬を適切に飲んでいなかったことが原因のひとつに挙げられている。
このほかにも10月31日に愛知県知立市で76歳の男性が運転する乗用車が飲食店に突っ込み、11人がケガをする事故が起こった。アクセルとブレーキを踏み間違えたという。
加齢による判断力の低下と持病の複合で事故が起こる
こういった高齢ドライバーによる事故は増加傾向にあり、原因は大きく2つに分けてられる。
ひとつは加齢による運動機能や判断力の低下によるもの。アクセルとブレーキの踏み間違いなどの「運転操作不適」「安全不確認」や、よく話題になる高速道路の逆走も、7割以上が高齢者ドライバーによるもので、これらも判断力の低下が原因となっていると思われる。
もうひとつは、認知症など持病が原因となる事故だ。警察庁のまとめによれば、昨年、全国で75歳以上のドライバーが起こした471件の死亡事故のうち、認知症が原因と疑われたケースは4割近くを占める。高速道の逆走は2014年1年間で224件起きており、そのうち27件が認知症によるものだという。
こういった認知症事故の多発を受けて、今年6月に道路交通法が改正され、「認知機能検査」が強化された。75歳以上のドライバーには、3年ごとの運転免許更新時に認知症検査が実施される。
高齢ドライバーによる事故は、こういった判断能力の低下と、持病、とくに認知症による要因とが複雑に絡み合って起こる。認知症以外にも、精神疾患、緑内障など眼の疾患、それにともなう視野狭窄なども注意が必要な持病といえる。