「記憶」が私を太らせる! 肥満の人の脳は高カロリーの食べ物に反応しやすい!?

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 ちなみに、ある匂いを嗅ぐことで、それと結びついている記憶を思い出すことを「プルースト効果」と言う。フランスの文豪、マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』に登場する主人公が、紅茶にひたしたマドレーヌの匂いをきっかけに、幼少時を思い出す描写から名付けられた。

 プルースト効果は、嗅細胞から伝わった信号が嗅皮質を経て、脳の海馬を活性化することで起こるとされている。海馬は、直近から過去2年ぐらいまでの短期記憶を蓄積する機関。海馬を通じて香りの情報は大脳新皮質に伝わって格納される。匂いの記憶は脳のあちこちに収められていて、匂いの刺激によりその匂いと結びついた記憶を即座に引き出す効用があるとされている。

 プルースト効果では、「匂いが記憶を刺激する」という脳の回路が働くが、先の「記憶が食欲を刺激する」という研究結果は、それとは真逆の回路が働いたために起こる現象なのかもしれない。

 ところで、ストレスを感じると食欲が落ちる人もいる。こういう人は肥満にならないのだろうか?

 雑誌『サイコロジカル・サイエンス』に発表された論文によると、ストレスにさらされると食欲が落ちてしまう人は、ストレスがなくなると食欲がアップする。一方、ストレスにさらされると過食傾向にある人は、ストレスがなくなると食欲も減るとのこと。

 つまり、ストレスによって激太りする人も、激痩せする人も、ストレスがなくなれば自然に元の体重に戻るような仕組みになっているのだ。

 今のところいえるのは、これまでに高カロリーの食品を食べて「すごく美味しかった」という記憶がたくさんある人が、肥満になりやすいのかもしれないということだ。美食家は危険かもしれない。
(文=編集部)

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