骨粗鬆症の予防には、カルシウムを効率的に摂取することが必要だ。この知識はかなり普及し、骨粗鬆症の予防のために毎日カルシウム・サプリメントをとっているという人は増えている。
カルシウム・サプリメントが骨粗鬆症の予防にどれくらい効果があるのか? 最新の研究結果が、ニュージーランドの大学で発表されている。それによると、食事やサプリメントでカルシウムの摂取量を増やしても、骨折の予防にはあまり効果がないという衝撃的なものだった。カルシウム摂取量が増えれば骨粗鬆症による骨折が予防できるという有力なエビデンスは、まだ見つかっていないのだ。
カルシウムのサプリは、まったくの無駄なのか? たしかに骨密度は高まりるが、その度合いはわずかでしかない。残念ながら、サプリメントによって骨折予防になるとは言えないというのが、現時点での医学の結論なのだ。毎日のカルシウムの摂取量は、1日あたり700〜800mg程度で十分と、スウェーデンの研究者は報告している。
骨粗鬆症が、生活習慣に根ざした疾患であることは明らかだ。生活習慣病には特効薬はない。健康な生活をおくるために、適切な食事と運動、そして早期発見のための検診受診と、早期治療が必要だ。骨粗鬆症の予防と治療も、三大疾患(がん、心臓病、脳血管疾患)と同じように、健康リスクの一つとして向き合うことが求められている。
(文=編集部)