ロシアのドーピングは止まらない!? 巧妙に進化する手法と犯罪組織の介在

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ドーピングの闇は深いshutterstock.com

 ロシアのドーピング問題が注目されている。オリンピックやワールドカップなど大きなスポーツ祭典があると、必ずといっていいほど取りざたされるのがこの話題だ。

 禁止されている薬物の不正使用だろうと想像できるが、それがいったいどんな薬でどんな作用なのか、なぜ禁止されているのかなど知らないことも多い。

 ドーピングは、スポーツで運動能力などを向上させるために薬物を使用したり、物理的な方法を用いることや、その行為を隠蔽することを差すが、その歴史は古い。すでに古代ギリシャの時代に闘技場の勇者がコカの葉を噛んで戦意を高めた史実まで遡るといわれる。

 「doping(ドーピング)」という言葉の語源には諸説がある。南アフリカの原住民が儀式を行う際に飲む強い酒(dope)からという説。オランダのディッピングソース(濃いソース)が米語で変換され、「競技のパフォーマンスを向上させるための薬」という現在の意味を持つ言葉に変わった説などがある。日常的なスラングとして「dope(ドウプ)」という単語が、麻薬や興奮剤や中毒、ヤバイ、最高!などの意味で使われることも多い。

 反薬物使用活動を推進するための国際機関「世界アンチ・ドーピング機関(WADA)」は1999年が設置され、禁止物質、禁止方法が書かれた「禁止表」の改訂版を毎年発表しているが、日本ではWADA設立の2年後に「日本アンチ・ドーピング機構(JADA)」が正式の発足した。

自己血を保存して使う血液ドーピングから遺伝子ドーピングまで

 ドーピングの対象として全面禁止となっている薬物には、無承認物質、蛋白同化薬、ペプチドホルモン、成長因子および関連物質、ベータ2作用薬、ホルモン調節薬および代謝調節薬、利尿薬および他の隠蔽薬、興奮剤、麻薬、カンナビノイド、糖質コルチコイド。アルコールも特定の競技会では禁止となっている。

 禁止薬物を並べても、それがどんな薬なのかピンこない。

 大まかに分類すると、薬を摂取した結果として筋肉を増強するもの、神経伝達物質アドレナリンに作用して運動能力を向上させるもの、高い持久力を得るために赤血球を増やしたりするものなどがある。

 1988年のソウルオリンピックでは、それまで検出が難しいとされていた蛋白同化薬(筋肉を増強する効果がある)のスタノゾロールがベン・ジョンソンから検出され、メダルを剥奪された。

 他にも2000年のシドニーオリンピックで5つのメダルを獲ったマリオン・ジョーンズも、テトラヒドロゲストリノンという筋肉の成長をもたらす禁止薬物や、その他のステロイドホルモン剤など複数の薬物を使用しメダルを剥奪されている。

 薬を飲んだり打ったりする以外にも、もちろん禁止されている行為だが、自分の保存しておいた血液を輸血することで赤血球が増え、持久力を増す手法は血液ドーピングと呼ばれている。この手法は、自己の血液のため検出が非常に困難となる。

 今回のロシアの疑惑の選手たちも、「検査にひっかからない薬」をコーチから受け取っていたと証言し、見返りとして高額な代金を支払ったとしている。

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