「おなら」と「げっぷ」のマジメなサイエンス【後編】

重大な胃腸疾患は「げっぷ」で判明! 少しでも自覚や不快感があれば受診を

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 胃腸の機能低下や障害は生活習慣に原因がある場合が多い。だが、以下のような疾患は、とくに要注意だ。

●逆流性食道炎
 ストレス、暴飲暴食、運動不足などが原因で、食道にある胃酸の逆流を防ぐ調整弁の機能が損なわれ、食道へ胃酸が逆流して起きる。胃酸によって食道が炎症を起こすため、胃酸のニオイを伴った酸っぱい呑酸(どんさん)とともに、胸やけ、胃痛、喉の痛み、咳、声がれ、食欲不振などの症状が出る。

●食道裂孔ヘルニア
 胸部と腹部の間にある横隔膜には、食道、大動脈、大静脈が通るための穴が開いている。食道が通る穴を食道裂孔という。胃の一部が食道裂孔から上の胸部に脱出している病態が食道裂孔ヘルニアだ。胸やけ、胸痛、つかえなどが起きる。食道と胃をつなぐ噴門部が胸部に出るタイプ、胃の一部が胸部に出るタイプ、この2種類が混合するタイプがある。

●胃潰瘍、十二指腸潰瘍
 ピロリ菌、非ステロイド性抗炎症薬、胃酸過多などが原因で、胃や十二指腸の粘膜が傷つけられる疾患だ。胃酸を含む酸っぱい臭いのげっぷ出る。みぞおちの痛み、胸やけ、呑酸、吐き気、膨満感、食欲不振などの症状がある。進行すれば、吐血や下血を伴うので、早期発見、早期治療が欠かせない。

●胃がん
 胃の粘膜が侵される上皮性の悪性腫瘍で、日本人では肺がんに次いで死亡率の高いがんだ。男女比は2対1。男女とも60代に発症のピークがあるが、初期症状が現れにくいため、早期発見が遅れる場合が少なくない。粘膜から粘膜下層までのがんを早期胃がん、固有筋層までに達したがんを進行胃がんと呼ぶ。進行胃がんでも、約半数の人が無症状なので注意を要する。胃がんができると、胃と腸を繋ぐ経路が狭くなり、食べ物や空気が腸へ流れなくなるため、胃の内圧が上がり、げっぷが出やすくなる。げっぷの他、胃痛、膨張感、食欲不振に伴う体重減少などの症状が見られる。早期発見なら完治が可能なので、定期検診が大切だ。

●慢性胃炎
 胃の粘膜に炎症が起きる疾患で、胃の不快感、•胸焼け、吐き気胃もたれ、食後の腹痛、空腹時痛、食欲不振 などの症状がある。

●食道がん
 食道にできる悪性腫瘍。初期は自覚症状が少ないため、健康診断や人間ドックの内視鏡検査などで発見されるケースもある。食道がしみたり、食物がつかえる他、体重減少、胸痛、背部痛、咳、声のかすれなどを伴う。

●呑気症、空気嚥下症
 ストレスなどの精神的な要因によって、唾液とともに空気を飲み込む量が増え、げっぷや腹部の膨満感が現れる症状だ。げっぷの回数が多くなれば、食道や胃の周りの筋肉が弛みやすくなることから、食道が通る横隔膜がめくれ上がり、先述した食道裂孔ヘルニアを起こすリスクもある。注意しよう。

 下(しも)から出れば「おなら」、上(かみ)から出れば「げっぷ」。おならも、げっぷも、生理現象なので、神経質になり過ぎるのは禁物。だが、少しでも自覚症状や不快感があれば、軽く見ずに早めに受診して、適切な診断を受けてほしい。


佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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