肺は全体に非常に目の細かいスポンジ状の組織(肺胞)でできている。この肺胞のまわりの非常に薄い壁の部分を間質がある。この間質に炎症がおきる病気が「間質性肺疾患」で、この中でも、線維化をおこしやすい病気が特に「間質性肺炎」と呼ばれる。
白血病ではなく、原因不明の特定疾患でもある特発性間質性肺炎説はどうか? この場合、「特発性肺線維症」「非特異的間質性肺炎」「原因不明の器質化肺炎」「呼吸細気管支炎関連間質性肺疾患」「剥離性間質性肺炎」「急性間質性肺炎」の6つの病態が考えられ。
このうち罹患しやすい年齢で松来未祐さんに合致するのは「急性間質性肺炎」。ネットでは「肺炎で死ぬの?」的素朴な疑問も複数認められたが、急性間質性肺炎は健康人を急に襲う予後不良の病い。6カ月での死亡率が60%と高い数字となっている。発熱、せき、呼吸困難などの症状が1~2週間で現れ、典型的には急性呼吸不全に進行するなど、ブログなどから垣間見られる症状に近いものがある。
しかし病気の原因が不明、かつその経過も非常に個別性が強いため、容易には判断できない。松来さんの闘病がどんなものであったかは未だ明かされていないため、ただただ冥福を祈るのみだ。
明治・大正・昭和を通じて文藝作品に影を差してきた肺炎も高度経済成長期には減少の一途。それが近年再び男女総数の死因第4位(厚生労働省調べ)に浮上してきたのも高齢化社会の証左だが、「肺炎でも死ぬんか、気をつけよう」の呟きは年齢を超えた教訓かも。
(文・編集部)