あなたは右利き?左利き?(shutterstock.com)
人間の脳の大脳皮質は、知覚、思考、推理、記憶、随意運動などの高次機能を司る生命活動の司令塔だ。この大脳皮質の中心溝の前側に、骨格筋など、体のさまざまな部分の随意運動をコントロールする運動野(うんどうや)という部分がある。運動野の中でも特に細かい運動が必要な手や唇や顔には、運動神経細胞が集中し、広い面積を占めているので、指先や口唇の細かい動きができる仕組みになっている。
だが、赤ちゃんの脳と手の連携プレイは、最初からスムーズにはいかない。赤ちゃんは、時間をかけて手を動かす練習を重ねていく。赤ちゃんの手の動きの変化を追ってみよう。
まず、げんこつ期。生まれたばかりの赤ちゃんは、手を軽く握ったままだ。手のひらに触れるものは、何でも握りしめようとする。2ヶ月ころには、親指を離せるようになり、指しゃぶりを始める。
3〜6ヶ月ころになると、握りしめ期へ。ものを握ったり、目の前のものに手を伸ばそうとする。5ヶ月ころには、手のひら全体でものを、わしづかみする仕草を見せる。ガラガラや鈴のおもちゃなどを握って、音を出して楽しむようになるのも、この時期だ。だが、ものを握れるようになっても、放すのは、なかなか思い通りにいかない。ものを置くというよりも、落とすようにパッと手を放す。
7〜9ヶ月ころになると、手さし・指さし期に入る。親指が他の指と完全に離れるので、親指を使って、ものを挟んでつかめるようになる。最初は、興味のあるものに対して、手全体を差し伸べる手さしが現れる。人さし指を立てる動きができるようになると、より正確にものを指さしできるようになる。
1歳ころになると、親指と人さし指が自由に動かせるつまみ期になる。でも、最初は、親指と人さし指を使ってものをつかむ、はさみ握りだが、次第に小さなものも指つかみできるようになる。小さなものも指つかみできるようになると、誤って飲み込むことがあるので、注意してあげよう。
1歳以降は、両手期になる。両手をうまく組み合わせて動かしたり、手首をひねるなどの複雑な動きを始める。たとえば、ビンの蓋を開けたりする。身の回りのものなら、何にでも興味が湧くので、いたずらをする時期でもある。