川上氏の研究結果に関連して、米ニクラウス小児病院・小児歯科センターのRosie Roldan氏は、タバコの煙が唾液などに生化学的な変化を生じさせる可能性があると指摘し、「受動喫煙は子どもの心疾患や呼吸障害のリスクを高めるだけでなく、虫歯リスクをもたらす可能性もある」と語っている。
我が子の健やかな成長は、親であれば誰しも望むものであろう。であれば、子育て中の親は、受動喫煙の害について真剣に考えるべきだろう。親だけではなく、そのことは歯科医も認識すべきである。川上氏は「受動喫煙や親の喫煙による虫歯リスクを歯科医が認識するようになれば、受動喫煙の害に関する教育の強化につながります」と訴えている。
先述したように、受動喫煙の子どもの健康被害についてのリスクは、重篤な心疾患や呼吸障害ばかりが注目されてきた。それが虫歯にまで関連するとなると……。喫煙は周囲の人々にとっても「百害あって一利なし」ということを肝に銘じるべきだろう。
(文=編集部)