C型肝炎は、C型肝炎ウイルスが肝臓に浸入・増殖し、リンパ球の免疫細胞が炎症を起こす肝炎だ。麻薬の注射器による回し打ち、集団予防接種の注射針による使い回し、ピアスの穴あけ、刺青、輸血、血液製剤などの血液感染よって発症する。輸血による感染が全体の約4割を占めるが、1989年以降は、献血された血液もC型肝炎ウイルスの検査が行われているので、輸血が原因のC型肝炎は減少している。感染すると、2週間から4~5ヶ月の潜伏期間を経て、症状が現れる。感染者の約30%は、ウイルスが自然に排除されれば、治癒に向かう。
症状は、全身の倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、黄疸のほか、肝臓の腫れ上がる腫大も見られる。C型肝炎は、A型肝炎やB型肝炎と比べて、自覚症状が少ないのが特徴。したがって、健康診断や献血時などの血液検査などで、感染を知る人が少なくない。しかも、C型肝炎ウイルスの遺伝子は変異しやすく、免疫システムをすり抜けるため、感染者の約半数が慢性化しやすい。30~40%は肝硬変や肝がんに進行するリスクが高いので、特に注意したい。
また、いったん完治しても、感染から10~20年後に症状が現れ、診断を受けた時に肝硬変や肝がんに罹っているケースも稀ではない。早期発見・早期治療が何よりも重要だ。
B型肝炎、C型肝炎の感染経路は、血液や体液に限られている。したがって、通常の日常生活ではまず感染しない。たとえば、洗濯物を一諸に洗ったり、大衆浴場やプールに入ったり、同じ皿の物を食べたり、握手、くしゃみ、咳、抱擁などの接触で感染することはない。ただ、血液や唾液が付着する恐れがあるので、カミソリや歯ブラシなどは、他人と共用しない。肝炎患者やキャリアの人は、乳幼児に口移しで食物を与えないように配慮してほしい。
生で食べる以上、絶対にあたらない方法はない
さて、これからシーズンを迎える牡蠣だが、A型肝炎のほかにもノロウイルス、腸炎ビブリオ、食物アレルギーによって「あたる」ことがある。アレルギー以外は、「しっかりと加熱」すれば、あたることはない。
それでも生牡蠣が食べたいときはどうしたらいいか?
滅菌海水プールで浄化・洗浄された「生食用の牡蠣を食べる」ことと、寝不足や疲労など「体調の悪いときに食べない」こと、この2つが絶対だ。ただし、生で食す以上、「絶対にあたらない方法はない」ということも肝に命じておいてほしい。
(文=編集部)