小松秀樹が指摘する日本の医療行政の人権侵害的傾向とは?

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 日本の医療行政は歴史的に管理色が強く、安易に人権侵害に手を染めてきた。ハンセン病患者の生涯隔離政策は、医学的正当性を失った後も50年近く継続した。2009年の新型インフルエンザ騒動では、WHOが反対声明を出す中、科学的根拠のない検疫と停留措置を行った。戦前、警察、医療・保健行政に区別がなく、内務省に所属していたことが影響しているのではないか。

 2012年のインフルエンザ特措法が、内閣府の警察官僚主導で制定されたのも、こうした歴史的経緯に由来するのだろう。同年10月12日に開催された日本感染症学会の緊急討論会で、法案の制定で日本感染症学会には相談がなかったこと、日本感染症学会所属の専門家の多くは、インフルエンザ特措法に問題があると考えていたことが明らかになった。

 歴史的に、医系技官とくに感染症に関係した官僚たちは、上意下達のピラミッド構造を望み、他の分野でもそれを進めようとしがちである。

 地域包括ケアの推進には現場のニーズを、現場に近いところで、多様な職種が直接認識するネットワーク構造が適していることを強調したい。


小松秀樹(こまつ・ひでき)
虎の門病院泌尿器科部長。東京大学医学部卒。都立駒込病院、山梨医科大学、虎の門病院泌尿器科部長等を経て、2010年から、亀田総合病院副院長・泌尿器科顧問。現在、千葉県や所属する医療法人などに対する批判をめぐり懲戒解雇問題が発生し係争中。

<文献>
1.United Nations, Economic and Social Council, U.N. Sub-Commission on Prevention of Discrimination and Protection of Minorities: Siracusa Principles on the Limitation and Derogation of Provisions in the International Covenant on Civil and Political Rights, Annex, UN Doc E/CN.4/1984/4, 1984. https://www1.umn.edu/humanrts/instree/siracusaprinciples.html (2015.10.10).
2.WHO Guidance on human rights and involuntary detention for xdr-tb control. http://www.who.int/tb/features_archive/involuntary_treatment/en/index.html (2015.10.10).

※編集部注
本文書は、2015年8月31日に出版された『地域包括ケアの課題と未来』(ロハスメディア刊)の編集雑感の2回目として2015年10月17日付 MRIC に掲載されたものを転載。

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