連載「眼病平癒のエビデンス」第8回

根津甚八さんは6回も手術! それでも完治しなかった「下直筋肥大」

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映画『GONINサーガ』で1作限定復帰した根津甚八さん(写真は同作の公式HPより)

 右眼の下直筋肥大などで俳優活動を休止していた根津甚八さんが、11年ぶりに映画に出演し、話題になっています。2001年に発症し、手術を6回も繰り返したものの、右目の形が思うように元に戻らなかったとのこと。根津さんの下直筋肥大の原因は公になっていませんが、今回はこの病についての一般的な原因や治療について解説いたします。

両眼12本の筋肉の働き

 眼球は中と外に筋肉が付いており、目の中の虹彩などに付いている筋肉を「内眼筋」、目の外に付いていて目を動かす6本の筋肉を「外眼筋」と言います。

 「外眼筋」の主な作用は次の通りです。

①上直筋:主に上転(上を見る)、わずかに内転して上内方へまわす(回旋)
②下直筋:主に下転(下を見る)、わずかに内転して下内方へまわす(回旋)
③外直筋:外転させる(外側を見る)
④内直筋:内転させる(内側を見る)
⑤上斜第:主に下転、わずかに外転して外下方へまわす
⑥下斜筋:主に上転、わずかに外転して外上方へまわす

 それぞれの筋肉は、中枢神経の支配を受けており、上直筋・下直筋・内直筋・下斜筋は動眼神経、外直筋は外転神経、上斜筋は滑車神経が支配しています。

 通常は、これら片目6本、両眼12本の筋肉が共同して働くことで眼球運動が起こります。何らかの原因で筋肉の動きが障害されると物が二重に見える「複視」が起きます。

 「外眼筋」の動きが悪くなる原因は、大別すると筋肉を支配する神経に原因がある場合(神経原性)と筋肉に原因がある場合(筋原性)があります。
 
 神経に原因がある場合としては、脳腫瘍や眼窩腫瘍による直接的・間接的な障害、脳梗塞などで神経の栄養血管が障害される場合などがあります。また、神経と筋肉のつなぎ目(神経筋接合部)を自己抗体で障害されると筋肉への刺激が伝わらなくなり筋無力症となります。

 筋肉に原因がある場合としては、甲状腺疾患に関連した甲状腺眼症、外眼筋炎、遺伝性の筋ジストロフィーや筋肉に変性を起こすミオパチーなどがあります。

下直筋肥大の原因と治療法は?

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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